照明器具の光の出方(配光)は、直接配光と間接配光の2つに大きく分けられます。
直接配光は器具から直接光が向かってくる明かりで、照明の効率が高い(省エネルギー)という特徴があります。
しかしまぶしさを感じたり、部屋のコーナー部分や天井面が暗くなったりしやすい点には注意が必要となります。
間接配光は、器具から出た光が 壁や天井(または照明機器内部)で反射されて出てくる明かりで、照明効率は低いのですが、均一な光でまぶしさを感じにくい柔らかい照明となります。
ほとんどの照明器具は直接配光が主で、一部に間接配光も併用した器具があります。
間接配光の照明を作る為には、間接配光専用の照明機器を除いて、部屋の壁や天井の作り方にも工夫が必要となります。
明るい部分は広く見えるので、広く見せたい面を明るくすることが照明計画の基本となります。
天井を高く見せたい場合は天井面を明るく照らし、壁を広く見せたい場合は壁面を明るく照らすのがポイントです。
開放的に魅せる場合は天井と壁を明るく、落ち着いた感じにする場合は天井を暗くします。
明るさは壁の色も大きく関係するので、広く見せたい部屋は明るい色にしておくことも大切です。
照明器具には、色温度と呼ばれる光の色味があります。
昼光色の蛍光灯やLEDランプは、昼間の活動的な時間の太陽の光に近く、爽やかな光となります。
電球色の蛍光灯やLEDランプは、朝日や夕日のような、穏やかさを感じさせる光です。
昼白色の蛍光灯やLEDランプは、その中間的な昼間の室内で感じられる太陽の光に近いものです。
昼光色はより明るく、電球色は少し暗めな位の明るさとすることが、光の特長を生かした上手な使い方となります。
昼光色で暗いと陰気に感じ、電球色で明るすぎると暑苦しさを感じることもあるので注意しましょう。
電球色の蛍光灯やLEDランプより、実際の白熱電球の方が、よりぬくもりのある光になります。
蛍光灯やLEDランプは光の波長に幅が少ない為、幅広い光の波長を発する白熱電球のほうが、自然に近い安心感があるのです。
現在白熱電球は、主要な国内メーカーでは生産が終了しています。
電球が切れた場合は、メーカー不詳の製品か、国内有名メーカーが現在でも生産しているクリプトン電球などを使用しましょう。
節電を重視する場合は、電球型の蛍光灯やLEDランプに交換するのもお勧めです。
一般的なランプよりもかなり高くなりますが、色を鮮やかに見せる演色性の高いランプを使えば白熱電球に近い光を得られます。
電球型蛍光灯と白熱電球を比べると、蛍光灯の方が電気代が1/4程度になり、寿命も数倍長いので経済的です。
しかし点滅を繰り返したり、調光器(明るさを無段階に調整する装置)を使う場所には向いていません。
また白熱電球の寿命については、調光器で少し明るさを落とすと かなり(数倍)寿命が延びます。
白熱電球やクリプトン電球は色の再現性がいいので、料理をおいしく見せる効果や絵画を綺麗に見せる効果もあります。
ですから、白熱電球やクリプトン電球を効果的に使えるのは、食堂や洗面化粧台や物を魅せることが大切な場所といえます。
鮮やかさよりも明るさが大切で点滅を頻繁に繰り返す廊下やトイレについては、電球型LEDの使用がお勧めです。
最近話題のLED照明は、使用法としては白熱電灯に近いのですが、光の色みは蛍光灯に近くなります。
蛍光灯よりさらに寿命が長いのですが、部屋全体を照らす照明としては機器のコストが少し高い点が欠点です。
最近ではLED照明機器の価格が下がっているとはいえ、効率が高いタイプの蛍光灯に比べてもまだ若干価格が高いようです。
部屋全体を照らすLDE照明機器は、発光効率(省エネルギー効果)の点では効率が高いタイプの蛍光灯とほぼ同じか劣る場合もあります。
ただ電球型LEDについては、電球型蛍光灯よりも発光効率(省エネルギー効果)が高くなるのでお勧めなのです。
点滅を繰り返しても、寿命にはほとんど影響がありません。
器具の明るさの目安は、器具を使用する部屋の広さに適した適用畳数を基本にしましょう。
同じランプや電球の照明機器でも、器具のつくりなどよって実際の明るさにはかなり差があるので、同じワット数でも明るさが大きく異なることがあります。
そこで、器具に明記してある適用畳数を優先して照明機器を選びましょう。
(一般的な目安としては、円形蛍光灯を使用する場合4.5畳は32W+30W、6畳は40W+30W、8畳は40W+32W+30W程度です)
高齢者の部屋や天井が高い部屋、内装の色が濃い部屋などでは、ワンランク明るい照明を選ぶのが基本です。
高齢者は暗い部屋では物が見えにくくなりがちで、天井が高い部屋は光が遠くなるので部屋が暗くなりがちなのです。
内装が濃い色の部屋でも落ち着いた雰囲気を重視する場合は、逆に暗めの電球色照明を使うことも考えましょう。
勉強や裁縫など手元を明るくする必要がある部屋では、スタンドを追加して手元だけを明るくすれば、部屋全体の照明は 多少暗めでも構いません。