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築130年の蔵を再生した家

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渡辺篤史の建もの探訪 神奈川県鎌倉市・須藤邸-築130年の蔵を再生した家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 神奈川県鎌倉市・須藤邸-築130年の蔵を再生した家 は、定年退職後の単身の住まいです。
山形県にあった蔵を移築して、住まいとして作り直した建物です。
外観はしっかりした蔵の形で、出入口の上の庇や軒先の形が蔵の作りを象徴しています。
ただ外観は落ち着いた土色ですが、縦長窓も見られるようにモダンな味付けも加えています。

出入口は2箇所、正面の大きな木の扉の入口に加えて、妻面にも元々あった窓部分を広げて作った出入口が追加されています。
外壁は本当の土壁、表面が雨に削られて、混ぜてあるワラが見えているところもあります。
通常の蔵は漆喰を塗って仕上げるのですが、生活の場としては落ち着いた土壁仕上げも良い感じです。
ただ耐久性が弱点なので、住まい手が納得した上でなければ採用しない仕上げともいえます。

出入口上の照明は、明かりが上下左右に広がり正面に出ない間接タイプ、ひょうたん型の切込みから光が漏れます。
玄関の扉は2重、内側の格子戸にはガラスを入れて明り取りとして、外側の板戸は丈夫な戸です。
どちらも移設前にあったオリジナルの建具のようで、重厚な作りに建物の歴史を強く感じる部分です。

室内に入ると立派な柱や梁に囲まれる、安心感のある空間です。
青い箱が2つあり、それぞれキッチンとバスルームが入っているようです。

キッチンボックスは床が2段下がっていて、扉も上部まで開いて入る独特な形です。
船の船室に入るような、独特の使い勝手となります。

キッチンボックスの内部はモザイクタイル仕上げ、キッチンカウンターもデザイン違いのタイルで仕上げています。
出入口は3箇所あり、さらに開くとカウンターとなる開口付きで、全てを開けると開放感も出ます。
壁はイエロー、流しのカウンターがターコイズブルー、開くカウンターがワインレッドと、かなりカラフルなキッチンまわりです。
カウンターに座った視線の高さと、調理している人の視線の高さがあう高さに床を調整しています。

部屋のコーナーには薪ストーブ、丈夫そうな作りで蔵のイメージにも似合ったデザインです。
照明はガイシで配線した、裸電球のタイプを採用。

壁は、柱が 柱幅と同じくらいの隙間を開けて立ち並ぶ、柱の縦格子のような仕上げです。
柱間は外壁と同様に土壁仕上げで、こちらは室内なので問題ないでしょう。
柱は栗とサワラが交互に並び、リズム感を生み出しています。

大黒柱や大梁はケヤキ、新しい木を使う場合には相当な費用が必要でしょう。
1階の室内にはテーブルや机があり、多用途に使えます。
四角い窓はオリジナルの障子で、室内に優しい明るさを取り入れています。

バスルームのボックスは、トイレと洗面を兼ねるモダンな浴室です。
仕上げは天井まで全面がキッチンカウンターと同様の丸いモザイクタイル、ブルーからグリーンに色が変わる独特な色使いです。
車椅子でも入れる2面開口とフラットな床で、将来のバリアフリーにも配慮しています。
ただキッチンには段差があるので、ちょっと微妙なところかもしれません。

キッチンボックスの先が窓を広げた出入口、本体はアルミのガラス戸ですが、室内側には障子、屋外には木製の雨戸が付きます。
階段も移築前からあった物で、傾斜は急ですが幅は広い階段です。

雷戸と呼ばれる、床面にある横にスライドする戸を開けて2階に上がります。
戸を閉めておけば、暖炉の暖かさが2階に逃げないので1階の暖かさを得られます。

2階も基本はワンルーム、切り妻屋根を受ける大梁が立派なケヤキで、通し柱の大黒柱がその大梁をしっかり受け止めています。
南北の窓は移築前の建具を利用、東西の壁には縦長窓を追加して、明るさを確保しています。

天井面の板など新しい木部分には、柿渋を塗って落ち着いた色としています。
出来る部分は建て主や近くの人たちの手作業(ワークショップ)で行い、工事費用を抑えているようです。
2階にも、青い箱の収納が2箇所に配置されています。


神奈川県鎌倉市・須藤邸-築130年の蔵を再生した家は、木造、敷地面積204㎡で建築面積46㎡、延べ床面積93㎡と、一人住まいとしては十分以上の広さがあります。
1階は46㎡で2階も46㎡、蔵なので2階まで外壁がまっすぐ立ち上がるシンプルなプランですが、青い箱がアクセントとなっています。
建築費は2850万円で坪単価は101万円、やはり本格的な移築再生を行うと高くなります。
ただケヤキなどの高級木材の価格を考えると新築では到底出来ないはずで、納得できる価格ともいえるでしょう。
ボックス内の水廻りもこだわりの仕上げなので、さらに費用がかかるはずです。

今回の住まい 神奈川県鎌倉市・須藤邸-築130年の蔵を再生した家 は、作りの立派な蔵を最大限に活用しているところがポイントでした。
さすがに一般的な住宅ではありませんが、古いものを生かすアイデアは住宅の建て替えなどの際には活用できそうです。

広い空間にボックスを配置するアイデアは、一般的な住宅でも利用できる可能性があります。
一旦広い空間として住まいをつくり、子供部屋を必要に応じて追加するなどの活用法がありそうなのです。

昔の建物の高級な木材を効果的に利用する点でも、参考と出来る部分がありました。
今回は珍しい移築再生の住宅で特殊な印象が強かったのですが、発想の自由さや古いものを使い切るアイデアは、新築の住まいでも参考に出来そうな内容だったともいえそうです。

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