渡辺篤史の建もの探訪 埼玉県さいたま市・白滝邸−景色も床も家具も 桜づくしの家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。
渡辺篤史の建もの探訪 景色も床も家具も 桜づくしの家 は、建築家のご夫婦とお子さん、3人家族の住まいです。
建物の外観は、バルコニーを強調したアイボリー色の3階建て、玄関の壁面が斜めになってアクセントとしています。
窓の上には薄くデザインされた庇がつき、デザインのアクセントと共に陽射しを防いだり窓の汚れを減らす効果も期待できます。
1階にはオーバーヘッドシャッターが付くガレージもあり、アルファロメオのクルマがとまっています。
敷地の奥にあるシンボルツリーはハナミズキ、成長してもさほど目立たない場所にあります。
敷地が面する道路には、桜並木が植わっていて華やかさが感じられます。
シルバーの玄関ドアを入ると、広めの土間空間があり、自転車置き場もあります。
3枚引きのガラス戸でガレージと通じ、ガレージには排気ダクトを設置するという凝り様です。
玄関床は石風のタイル、玄関ポーチの床と合わせています。
玄関の上がり口は、上がり框が付いて2段で上がります。
その横には大きなガラス引き戸があり、玄関を仕切って冷暖房効果を高めると共に、ガレージの防音にも役に立ちそうです。
玄関脇の縦長窓は、通風可能なスベリ出しタイプです。
1階の階段脇は水廻り、洗面とトイレがワンルームで、洗面台は大きめの既製品です。
タンクレストイレに洗濯機置き場もありますが、洗濯の動線としては長くなります。
浴室のドアはガラス、床と壁のタイルが同じで、玄関床タイルと同様なサイズで色違いとなります。
縦長窓からはガレージのクルマも見える上に、車庫の照明スイッチを洗面所にもつけた、こだわりの空間です。
階段を上がると、親子ドアの先にリビングダイニングキッチンが広がります。
正面の壁面のデコボコが室内でも感じられ、適度にリビングとダイニングキッチンを分けています。
リビングの窓は床まである大型タイプで、さらに吹き抜け上部にも大窓があり、道路にある桜並木がたっぷり楽しめます。
さらにダイニングキッチンの腰窓からも、しっかり桜並木が楽しめます。
建物や壁を道路に対して斜めに配置することで、桜を見えやすくしているようです。
ダイニングテーブルの照明は、有名なデザイナーズランプ。
造り付けのダイニングテーブルは、キッチン側にL字型に伸びて、電話機置き場となっています。
リビングのテーブルはイサムノグチのデザイン、テレビ台は床から浮かせたデザインの造り付け収納で、足元照明も付いています。
床や収納扉は桜材、階段脇にはハシゴが備わり、吹き抜けの窓下についているフックに引っ掛けて、窓のメンテナンスが行えます。
フックバー部分には間接照明が付いて、火打ち梁やカーテンレールも備わる多機能タイプです。
ダイニングテーブルも桜材、ヤコブセンのセブンチェアも桜材の品を選んでいます。
キッチンは白、壁付きタイプですがダイニングとつながり、正面の窓から桜も見えます。
キッチンからダイニング側にカウンターが延び、ダイニングテーブルから延びる部分と段差が付いて重なります。
その上は吊り戸棚がダイニングまで続き、収納量を確保しています。
キッチンの背面にもカウンター収納と吊り戸棚が備わります。
オーブン付きのガスコンロに大きなシンクと、使いやすいキッチンにまとめています。
ダイニング脇には2畳の小上がりスペースがあり、琉球ダタミに地窓、間接照明が備わります。
ここに座ると、LDKの窓全てが見え、桜並木もたくさんの窓に切り取られて見ることが出来ます。
床下は収納スペース、寝具が入っていて、休める空間でもあります。
その奥が2階の水廻り、1階よりコンパクトな洗面所と、扉で仕切られるトイレがあり、こちらは来客用としても普通に使えます。
洗面所の扉は高い引き戸で、縦長ガラスから洗面所の明かりが漏れてきます。
その引き戸は引き手が上から下まで続き、小さな子供でも開け閉めしやすくなります。
3階に上がると、子供スペースが広がります。
3枚の引き戸で仕切られますが、現在は収納スペースとして使っているようです。
2つの小窓付きで、桜並木の景色と通風を確保しています。
子供室の反対側が書斎スペース、2段ほど床が上がった空間で、長いカウンター机の先には、リビング上の吹き抜けの大窓から桜を眺めることが出来ます。
さらに背面には収納付きで、使い勝手を高めています。
奥が寝室、正面の腰窓や斜めの壁の掃き出し窓から桜並木が見え、その外にはバルコニーもあり、桜並木の風景をたっぷり楽しむことが出来ます。
景色も床も家具も 桜づくしの家 は、木造在来工法、敷地面積65㎡で建築面積40㎡、延べ床面積112㎡です。
1階は39㎡で2階は39㎡で3階は33㎡、車庫を除くと100㎡を切るくらいとなるので、3人家族としては標準的でしょうか。
階段空間が多くなるので、面積ほどの広さは感じられませんが、景色を取り込むことを重視しているので内容が詰まった印象です。
建築費は不明ですが、桜の仕上げや斜め壁の3階建てなど、コストが高くなりそうな要素も含まれていました。
今回の住まい 埼玉県さいたま市・白滝邸−景色も床も家具も 桜づくしの家 は、桜並木の景色を部屋の全てで楽しめるつくりが印象的でした。
壁面や窓の配置を工夫して、全ての居室から桜並木を楽しめるいろいろな窓を備えていました。
クルマを楽しむ1階も含めて、建築家の夫婦らしい、こだわりの住まいとしてまとまっていたのです。
桜材の床やテーブルなど、ちょっとやりすぎの感もありますが、様々な窓を備えているので陽射しの心地良い変化や通風の良さも加わっていたようです。
景色を取り込む壁や窓配置のアイデアの好例として、今回は参考に出来る内容がたくさんみられた住まいだったといえそうです。