渡辺篤史の建もの探訪 神奈川県横須賀市・吉田邸−海を望む国産木材いっぱいの家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。
渡辺篤史の建もの探訪 海を望む国産木材いっぱいの家 は、ご夫婦二人に愛犬1匹を加えた家族の住まいです。
建物の外観は、傾斜地の地階部分が左官仕上げ、その上2層分は杉板を貼り詰めた木の箱です。
駐車スペース脇の玄関は地階部分にあり、その玄関ドアは芸術家のデザインによるものです。
玄関廻りの壁は濃い色で荒く仕上げ、オリジナルの表札を含めて個性的なデザインでまとめています。
地下扱いとなる玄関に入ると、広い大判タイルの土間に床を無垢の厚板で仕上げた、音楽ホールが広がります。
木のオブジェやクラシカルな音響機器が置かれる、趣味を楽しむ空間です。
天井は木板仕上げで、壁はコンクリート打ち放しとなり、音の響きがかなり残りそうです。
椅子やテーブルも家具作家の作品、ピアノやハープやチェロなど楽器も置かれています。
玄関隣は書斎スペース、杉板の本棚が壁2面に備わり、机に座ると窓から海が見えます。
隣に備わるエレベーターも、枠や床を木板で化粧しています。
そのエレベーターで2階に上がると、木をたっぷり使ったリビング(ダイニングキッチン)スペースにでます。
立派な梁や柱を魅せたデザインで、天井と床を木板仕上げ、壁は漆喰仕上げで和風の装いです。
切り妻屋根の形を見せた天井には、2つの北側トップライトがつき、明るさや通風を良くしています。
中央に備わるテーブルはケンポナシ、やはり家具職人によるものです。
窓は腰高として障子付き、和風の要素や良さを上手く取り入れています。
窓の先には海の景色が広がり、キッチンから続くカウンターでは、海を眺めながらの食事も出来ます。
少し奥まった位置にキッチンスペース、収納扉が木板仕上げの長いキッチンからは、海を眺めることができます。
コンロはハイカロリバーナー付きのガスコンロとコンパクトなIHヒーターを併用、長いワークトップを生かした余裕のキッチンです。
背面にはシンプルな作業台と吊り戸棚付き、数人で調理しても余裕のあるキッチン空間です。
リビング隣は広いウッドデッキ、パラソル付きのテーブルが備わります。
海風を感じつつ、海の景色を眺めることが出来る空間となります。
階段ホールの壁には一面飾り棚が備わり、ギャラリー空間となっています。
階段の手摺を支える柱は赤く塗装され、アクセントとしています。
1階に降りると、エレベーターの隣が洗面所。
こちらも広く、洗面カウンターも大きめです。
浴室は腰までがタイルで(浴槽周りは小さいモザイクタイル)、その上は壁・天井共に桧板貼り。
専用のデッキ空間も付いて、開放的な浴室です。
海から帰ってきてそのまま浴室に入れるように、駐車スペースからデッキまでの階段も備わります。
洗面所の隣が主寝室、押入の扉がグリーン色でさわやかな雰囲気です。
窓には障子付きで、ベッドは杉製で細かい格子組みの支持面など、普段見えない部分にもこだわるベッドです。
廊下の欄間にも芸術家の作品をはめ込み、収納スペース上を飾ります。
その対面の部屋がタタミの間、天井まで土壁そのままの仕上げとして使っています。
天井には土が落ちるのが怖くて使わないのですが、大胆です。
縁無しのタタミもこだわりの有機本畳、ニジリ口がついていますが、全体的には茶室のイメージは少ない和室です。
海を望む国産木材いっぱいの家 は、地下1階RC造+地上2階木造、敷地面積342㎡で建築面積67㎡、延べ床面積200㎡です。
地階は66㎡で1階は67㎡で2階も67㎡、2人家族として十分以上の余裕ある広さを備えています。
建築費は不明ですが、半地下の鉄筋コンクリート造部分に加えて、こだわりの仕上げ材や広さを考えれば、そこそこ高価となりそうです。
今回の住まい 神奈川県横須賀市・吉田邸−海を望む国産木材いっぱいの家 は、木材など自然素材にこだわった仕上げが印象的でした。
柱や梁も必要より大きな材を使用して、見た目にもしっかりした安心感が感じられました。
和風素材にこだわっているものの、全てを和風としていないバランス感覚も心地よく感じられました。
天井の土壁など冒険的な部分もあったものの、主要な部屋ではないので不都合は感じにくそうです。
それ以上に木の質感を大切にしたこだわりの仕上げや家具は、一部分だけでもアクセントとして活用できそうな要素たっぷりの住まいだったといえそうです。