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窓が”無くても”明るい家

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渡辺篤史の建もの探訪 東京都文京区・紀野邸-窓が”無くても”明るい家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 窓が”無くても”明るい家 は、ご夫婦と息子さん一人、3人家族の住まいです。
建物の外観は、3つの白い箱を少しずらして積み重ねた、積み木タイプ。
道路から見ると窓はなく、箱がずれた部分を見上げると樹木が伺え、内に開いた都市型住宅であることがわかります。
夜になるとそのずれた部分から明かりが漏れて、独特の雰囲気となります。
駐車スペースを兼ねるアプローチ部分はコンクリート床。
ずれた上部の箱が庇となる左手部分に玄関ドアがあり、境界となる塀には緑を這わせてグリーンの目隠しです。

白い玄関ドアを入ると、正面に長くコンクリートの床が続いて、奥の広まった部分が棚付きの自転車置き場。
左手には廊下が続き、うす暗い路地を歩いているような雰囲気となります。
自転車置き場は天井の細長い天窓から明かりとり、天井から光が入る洞窟空間。
壁には大きな蓮の絵が飾られ、昇降部分に置かれた玄関ベンチの中には電動自転車の充電器が入っています。

廊下を進むとエレベーターホールの天井はガラスで、上階の天窓から明かりが落ちてきます。
そのエレベーターで2階に上がると、エレベーターの扉に加えて開き戸付で、知らないと戸惑いそう。
エレベーターホールの床がガラスで上部は吹抜けと、ちょっと怖い感じもしますが、明るさは十分確保しています。

先に広がるのは、ワンルームのLDK空間。
エレベーター前が白いダイニングテーブルで、白いYチェア4脚付。
壁には白いカウンター収納が左手のリビングスペースまで長く続き、右手がキッチンスペースです。

Ⅱ型キッチンはシンクが対面、ガスコンロが壁付きですが、その壁は吊戸棚との空いた部分がすべて窓。
先の坪庭(ハーブ園)の緑が見える、開放感のある広いキッチン空間です。
ワークトップは共にステンレスで、大き目ながらシンプルデザインのシンクを低めのカウンター収納で目隠し。
3口のガスコンロはレンジフードが少し高めの位置、ちょっと排気性能に不安がありますが、目前のハーブを取りやすい大き目の窓とすることを優先したのでしょう。
この広い空間は、奥さんのテーブルコーディネート教室としても使用されるようです。
キッチン横に袖壁で区切られる冷蔵庫置き場、エレベーター横に食品庫と収納部分はしっかり目隠しされています。

リビングには白いソファー、天井はここの上まで吹き抜けなので開放感があります。
グレー系の床色を除いて白づくめの空間ですが、陽射しが直接入る窓が少ないので、適度な明るさとなっているようです。
そのリビング脇には、少し上がった高さにウッドデッキとグレーチング床のバルコニー付。
背の高さ以上の壁で囲まれたバルコニー空間は、窓正面がウッドデッキ床で、残りをグレーチング床として1階部分に明りを落としています。
グレーチング床上は構造補強のブレースが通り、その前にフック付きのバーが通ることで空間を軽く分割。
緑は大きなプランター一つで、シンプルにまとめています。

今度はエレベーター横の階段で1階に下りると、降り切った部分に勝手口。
廊下を少し進むと、奥さんの寝室の入り口です。
入ると手前がクローゼット空間、奥に細長いベッド空間があり、左手が書斎カウンターと棚とイームズの椅子。
ベッド空間は子供部屋とも通じていて、頭を突き合わせて寝るように2つベッドが続く長い部屋。
もう少し子供が大きくなったら、仕切って使うのでしょう。
天井には細長いトップライトが長く続き、夜空も楽しめます。

廊下の途中のエレベーター前の床は、地下が見えるガラス床。
ちょっと複雑な配置となっているようですが、廊下の突当りが子供部屋の入り口です。
お母さんの書斎と同じような作りですが、廊下幅まで使ってカウンター机と本棚を広く確保。
右手の窓の外には小さいながら壁で囲まれたグレーチング床のテラス付、ベッド上にはハンモックがかかり、自由度が高い部屋となります。

階段を降りると地階、実は玄関は地下扱いだったようで、最初エレベーターで2層分上がったことを1層分と思ってしまったことで複雑な印象が強まったようです。
階段降りてすぐがご主人の寝室、コンパクトながらこちらもカウンター机と棚と細長天窓付き。
机の目前には、坪庭が備わります。
寝室扉の先には廊下が続き、玄関に直通です。

その廊下の途中に水廻り、手前に収納スペース(湿気が気になりそうですが)があり、先が細長天窓付きの洗面空間。
カウンターや収納扉から床まで白い色で統一、足元と収納の鏡扉下に間接照明が付きます。
透明ガラスのドアと壁で仕切られる浴室は、大きな浴槽がメインの長めな空間。
モダンデザインのシャワー水栓が備わり、縦長窓先の坪庭を、寝室と共有しています。


窓が”無くても”明るい家 は、鉄筋コンクリート造+木造、敷地面積77㎡で建築面積46㎡、延べ床面積111㎡です。
地階は44㎡で1階は35㎡で2階は32㎡、3人家族として標準以上のスペースを確保、囲まれ感と開放感を兼ね備えた安心感のある空間を生み出しています。
建築費は3015万円で坪単価は90万円、半地下にRC部分、ずれた複雑な作りやエレベーターなどの設備を考えると、納得できる坪単価といえそうです。

今回の住まい 東京都文京区・紀野邸-窓が”無くても”明るい家 は、囲まれた都市型住宅にスリット天窓を組み合わせた現代デザインが印象的でした。
外回りの窓はすべて無くし、3層を少しずらしてスリット天窓やバルコニーテラス空間を複数確保。
その天窓やバルコニーからの明かりをうまく生かして、守られ感のある都市型住宅を生み出していました。
子供と奥さんがつながる寝室やエレベーター周りの造りなど、独特な部分もいくつかみられました。
そんな個性的で新しい都市型住宅や家族関係の為の斬新なアイデアいっぱいの、興味深い住宅だったといえそうです。

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