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では、住宅性能表示制度の各項目ごとにメリットとデメリットを見ていきましょう。

構造の安定に関することについては、在来工法やツーバイフォー工法が前提となります。
筋かいや合板など、変形を抑える補強で地震や強風に対して強度を確保する構造については、的確な判断が出来ることがメリットといえます。
また地盤調査を行なう必要がある点も、地盤に対する不安を無くすことが出来るので大きなメリットといえるでしょう。

しかし、きちんと計算すれば等級1の住宅が等級3になることもあるという不確定さもあります。
確認するための計算手間がかなり掛かる為に、等級を上げる為に必要な図面が数枚増えてしまうのです。
計算の手間によって等級が変わってしまう可能性が比較的高い、という点はデメリットといえそうです。

また、伝統工法は柳のように揺れることで地震のエネルギーを吸収しているのですが、改正された建築基準法ではその揺れの範囲を制限した為に確認申請すら ままならないという状況(2008年2月現在)なのです。
当然、性能表示制度でも適切な評価が行なえません。
免震構造を採用すれば 揺れを抑えることが出来るのですが、伝統工法の構造的特徴を発揮できないので無駄が非常に多くなるというデメリットがあるのです。

つまり、伝統工法を用いた住まいの 構造の安定に関すること に対しては、適切な評価を行なえないということです。
(もっとも 確認申請自体も困難が伴う状態なので、伝統工法で住まいを建てること自体が難しくなっている事の方が より問題なのですが。)


火災時の安全に関することについては、警報器と耐火性能を評価することになります。
警報機については、等級4は共同住宅レベルの警報装置なので、戸建住宅では過剰装備とも言えます。
等級3までで必要に応じて採用する方がいいでしょう。
基本的に防火地域や準防火地域や22条地域など法規制に適応した性能表示となっています。
住宅の場合は避難にあまり時間はかからないので、法的に必要が無ければ高い等級も必要性が薄いともいえるのです。
また、同じ敷地にある色々な可燃物(ゴミや倉庫など燃える可能性があるもの)に対する評価は行なえません。
延焼ラインの範囲外でも、敷地内の可燃物が燃えれば、住まいに燃え移る危険性があるのです。
つまり、本当の住まいの火災に対する安全性を評価する為には延焼ライン(敷地境界や道路からの距離から燃えやすいと思われる部分)以外の部分についても検討する必要があるのですが、その検討を行なっていないという不安部分があるのがデメリットと言えます。
延焼ラインを考える時点で、本当の安全性を要求しているのではなく、建築基準法に応じただけの仕様といえるのです。

つまり、メリットは火災に対する安全率は、等級に応じて上がることです。
デメリットは、住宅にとっては過剰な性能となる可能性があることと、延焼ライン外の部分で安全面に対する不安があるという点でしょう。
無闇に延焼ライン内だけの防火性能を高くするより、住まい全体を考えたバランスの良い防火性能とすることに対する安全性を評価できないというのが、火災時の安全に関する性能表示の限界といえるでしょう。


劣化の軽減に関することについては、評価すること自体が非常に困難だという点が一番の問題かもしれません。
柱の太さや床下換気や小屋裏換気などは、確かに耐久性を高めることには役に立ちます。
水廻りの防水処理や防腐防蟻処理についても効果はあるのですが、九州で真面目な住宅を作っている限り、柱の太さを除いては標準的な内容といえるのです。
(基礎高さは雨の多い九州では最低400mmというのが常識です。)

また、柱に関しては太さよりも年輪が細かい方が安心できます。
13cm角くらいの柱は間伐材(森林の中で他の樹木を成長させる為に、成長が悪い樹木を成長途中で切り倒した樹木のことです)から採取できるので、柱が太くても強度に不安がある場合もありえるのです。

住宅が劣化する要素は、結露や雨漏れなど様々な要素が複雑に関わってきます。
断熱材の配置による結露や木造躯体を通気・乾燥状態に保つ方法、屋根や外壁の耐久性など様々な耐久性向上の要素を組み合わせた内容については まったく評価が出来ないのです。

評価が非常に困難な内容を評価しなければならない点で、劣化の軽減に関する評価には限界があります。
耐久性を高めることを考える住宅では、等級3は最低限必要な条件でしかないのです。
本当に住まいの耐久性を重視する場合には、独自に結露対策や耐久性の高い外装材の利用などを行なうことが必要となります。

劣化の軽減に関する評価は、耐久性確保の為に最低限必要な項目を保証してくれることがメリットです。
しかし、本当の耐久性については不十分すぎる評価の内容である点がデメリットといえるでしょう。

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