住まいづくり研究室、タイトル画像

桜並木に浮かぶ家

渡辺篤史の建もの探訪のデザインやアイデアを活用

住まいづくり研究室

建もの探訪のデザインやアイデアを活用


景色も床も家具も 桜づくしの家


桜並木に浮かぶ家


階段が〝部屋&家具〟になる家



住宅新築のはじめに


住宅リフォームはじめに


家づくりの設計と現場


快適さと使いこなし


建物探訪のデザインや
アイデアを活用

テーマ別
住まいづくりのポイント


 

住まいづくり研究室では
一級建築士の管理人が
はじめての住宅取得する際
から上手に使いこなすまで
住宅つくりに役立つ情報を
豊富にわかりやすく紹介

建築家や工務店や
ハウスメーカー選びから
建材設備を選ぶポイント
メンテやインテリアまで
住まいの情報が満載です。

 

渡辺篤史の建もの探訪 埼玉県吉川市・小野寺邸−桜並木に浮かぶ家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 桜並木に浮かぶ家 は、ご夫婦とお子さん、3人家族の住まいです。
建物の外観は、上部に向かって外側に傾いたコンクリート打ち放しの箱から黒いガルバリウム鋼板仕上げの箱が2つ飛び出す、個性的な形です。
敷地が面する道路の先には川があり、その川岸に500本以上の桜の木が4kmにわたって並んでいます。

コンクリートの型枠には細い木の板を使っていて、粗いコンクリートの中にも繊細な味わいを加えています。
駐車スペースは建物に入り込む形で2台分、さらに飛び出した箱の下にも1台分が確保され、合計3台分です。
玄関庇は黒い1枚板、その下にある黒い玄関ドアを入ると、正面がガラスで駐車スペースに通じます。

玄関すぐの階段は鉄骨製でシースルータイプ、シックな色の木製踏み板と黒く塗られたスチール部分が落ち着いたモダンな印象を与えています。
上部は吹き抜けで、天井付近にはエアコンのダクトと吹き出し口が見えます。
ダクトは結露防止の素材を巻いたうえで仕上げてあり、向きを変えられる吹き出し口と共にデザインされているようです。
室内に入ると斜めのコンクリート壁が特に目立ちますが、室内側コンクリートは一般的な型枠で仕上げています。

階段下の1mほど下がった部分が、小さいながらご主人の趣味のスペース。
ステレオとパソコンが置かれの2面のガラス窓の先には2台の愛車が見える、書斎と趣味を兼ねる空間です。
コンクリート製机の上にあるステレオは、レコードと中級コンポでまとめられています。
その足元には、配管スペースとなっている床下空間につながる小さな開口があり、少し無理をして床下収納として使っています。

2階に上がると、階段廻りの手摺にはメッシュを張って、まだ小さい子供の転落防止としているようです。
駐車場の上となる持ち出し部分がリビングダイニングキッチン、持ち出し部分の道路(川)面にある大きな窓からは桜並木が見えます
コンクリート部分は壁も天井も打ち放し仕上げのまま、エアコンの配管ダクトもそのまま見せる形となります。
部屋の長い壁面には縦長のジャロジー窓が付き、採光と通風を確保しています。

リビングには、大画面テレビと高級ステレオが並び、階段側に置かれたソファーで楽しむ形となります。
ダイニングには、キッチン側の仕上げにあわせた食卓が備わり、椅子は有名デザイナーのものです。
キッチンを隔てる腰壁も外壁同様に斜めに傾いていますが、これはちょっとやりすぎの感もあります。

ダイニング背面にはキッチンの収納スペースがあり、シックな食卓や床の仕上げに色を合わせています。
対面式となるキッチンはIHヒーターで、シンプルな白のワークトップを採用しています。
ダイニングを隔てる腰壁は薄いもので、高めとすることで手元をしっかり隠しています。
ここからも、2つの持ち出し部分にある大きな窓から桜が見えます。

階段を挟んでリビングの反対側が子供スペース、こちらも道路(川)面にある大きな窓から桜が見えます。
足元まである大きなはめ殺し窓により、2階ながら開放感が感じられますが、人によっては少し怖さを感じるかもしれません。
コンクリート部分と持ち出し部分の壁の間には、三角形の窓が付きます。

ダイニングの反対側が水廻りの入口、コンパクトにまとめた洗面所の先に、スリガラスの扉で仕切られる浴室があります。
浴室は床と壁が白っぽいモザイクタイル仕上げ、コンクリート面は打ち放し仕上げ見せています。
イタリアメーカー製のシャワー水栓は、モダンで個性的なデザインです。
窓は縦長ジャロジー窓、子供スペースともスリガラスの扉で直接つながります。
室内側の壁の上部だけをガラスとして、漏れる明かりで浴室に入っていることが分かります。
通常は湿気の問題が生じそうですが、全室空調とすることで解消しているのかもしれません。

コンパクトなトイレは、廊下と洗面所の間に埋め込まれ、扉の開き方でトイレを使うか、洗面所に通じるか選ぶ形となります。
省スペースの点では面白いアイデアですが、使い勝手の点では今ひとつでしょう。

キッチンの隣が寝室、クローゼットスペースを介してベッドスペースに通じます。
高めのベッド下を収納として活用、廊下からの扉に加えてキッチンや洗面所につながる扉(計3つ)もあり、回遊できる動線を確保しています。

洗面所と寝室の間に隠し?扉があり、それを開くと踏み板が互い違いとなった箱階段が出てきます。
その上にある大きな天窓を開けると、屋上テラスに通じます。
隣接する建物に若干邪魔されるものの、桜並木が楽しめる屋上空間です。
人工芝を貼った屋上テラスはそれほど広くはありませんが、良い景色をたっぷり楽しめます。


桜並木に浮かぶ家 は、RC造2階建て、敷地面積94㎡で建築面積59㎡、延べ床面積112㎡です。
1階は57㎡で2階は55㎡、ただ1階はほとんどが車庫部分となるので、3人家族としても少しコンパクトです。
2階部分を開放的に作り、水廻りを必要最小限に抑えることで、実際以上の広さが感じられる住まいとなっています。
建築費は2360万円で坪単価は70万円、斜めのコンクリート壁や小さめのRC造ということを考えるとコストパフォーマンスが高く、コンクリート部分の仕上げを上手く省略することでコストを抑えていたようです。

今回の住まい 埼玉県吉川市・小野寺邸−桜並木に浮かぶ家 は、コンクリートの特長を生かした自由な形と回遊できる動線が印象的でした。
コンクリートの壁を斜めとすることで室内に広がり感を与え、実際以上の広さが感じられたようです。
オープンな子供部屋と、浴室と寝室までを回遊スペースとすることで、プライバシーと一体感をバランスよく両立していました。

玄関階段下の書斎スペースやコンパクトな水廻りなど、興味深いアイデアも豊富にみられましたが、実用性を考えると微妙な部分でもありました。
しかしそのマイナス部分を感じさせない、統一感のある仕上げやヨーロッパ製品、つながりを持ったオープンな空間には大きな魅力が感じられました。
今回の住まいは、統一感のあるシンプルな仕上げとオープンな部屋とすることで巧みにコストを抑えた、個性的でアイデアとデザインにこだわった住まいの好例だったといえそうです。

階段が〝部屋&家具〟になる家 桜並木に浮かぶ家 景色も床も家具も 桜づくしの家

ページトップ

住まいづくり研究室
住まいづくり研究室 アイコン    「住まいづくり研究室」へのリンクは自由です、連絡も必要ありません。

copyright 2013-2016 kazu All Rights Reserved