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壁が双曲放物面を描く家

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渡辺篤史の建もの探訪 東京都目黒区・宇野澤邸−壁が双曲放物面を描く家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 壁が双曲放物面を描く家 は、ご夫婦と息子さん、3人家族の住まいです。
建物の外観は、独特の曲線を描く黒い壁面に、壁の隙間と上部に窓が付くデザインが印象的です。
双曲放物面は支えるラインは直線ながら、上下の支点をずらすことで双曲放物面と呼ばれる曲面を作り上げたもの。
比較的大きな建物ではたまに使われますが、住宅での利用は極めて珍しい形です。

正面の1階部分は壁に切り取られて車庫とアプローチに分かれていますが、クルマが無ければどちらからでもアプローチできます。
車庫の奥には地下ドライエリアのグレーチングが見られ、斜めで三角形の窓から室内の雰囲気が少し分かります。
玄関の中にもガレージ空間があり、レーシングタイプの塗装が施されたスポーティーカーが納まる、ガレージハウスでもあります。
黒い玄関ドアの隣が大きく開く窓で、ここから車が出入するかたちです。

玄関に入るとモルタル床のガレージ空間、綺麗に手入れされているロータスヨーロッパ(40代位の男性には懐かしいスーパーカー)が鎮座しています。
奥には丸テーブルに椅子と姿見鏡が置かれ、趣味のコミュニケーションの場としても使われる空間のようです。
ガラスで仕切られる室内側には、X型の階段があり、その奥の壁一面にはスニーカーが並んでいます。
かなりの数の靴が並び、コレクターとしての一面も持つご主人です。

室内に入る引き戸は白、入ったところにある階段はスマートな作りのグレー色の鉄骨階段です。
スニーカー棚も鉄板製で同色、壁の曲面に合わせた作りとなります。
玄関の境界が分かりにくいのですが、白い扉に入る前に靴を脱ぐようです。
1階には一旦階段を上がって降りた奥の部分に、ワークスペースがあります。
その上2階に上がった部分に洗面台、カウンターだけのシンプルなデザインで配管までデザインされているような印象です。
こちらが、キッチン側に上がる階段となります。

反対側の階段からは、リビング・ダイニング空間につながっています。
LDKワンルームながら、2箇所の階段でつながる自由な空間でもあるのです。
階段側の壁は下階から天井まで続く収納棚、リビングの2面の壁も収納棚で、曲面の壁は全て収納棚として扱っているようです。
リビングの収納にはご主人の鞄のコレクション、多様な趣味をお持ちのようです。
斜めの側板が場所によっては使いにくそうですが、個性的で印象的なデザインは魅力的です。

板張りの天井は船底型で、中央部分をカットしてアクセント。
壁の上部は横長窓が4周全て続き、明るさを取り入れているようです。
床のフローリングはチョウナ目残しのフローリング、感触は好き嫌いがありそうですが、こだわりが強い住まいです。

キッチン上の照明はレトロ調のペンダント、長いステンレスワークトップが伸びて食卓になるスマートなデザインのキッチンです。
階段側のアイランド部分にシンクと食卓、壁側のワークトップにIHヒーターと作業兼勉強カウンター、どちらもステンレスの薄い板のようにデザインしています。
収納スペースはキッチンの延長のようなステンレス?扉で隠し、奥にあるパントリーや収納スペースの扉も木製の壁仕上げにあわせています。
シンクには個性的なデザインのシャワー付き、ドイツ製のIHヒーターにバーベキューグリル付とシンプルモダンで個性的なパーツの組み合わせ。
さらに、多様な使い勝手も加えています。

天井の切れ目にある階段から3階に上がると、床まで真っ白な子供部屋。
床が船底型で2階の天井の形の裏返しようなデザイン、地域の高さ制限により建物の高さを抑える為に3階床を少しでも下げたようです。
階段脇に造り付けのベッドが備わり、2つのコーナー窓の真ん中に、屋上テラスに出るドアがあります。
ステップで上がる腰高で開口高さが低めのドアから、シンプルにデザインされた手摺に囲まれる屋上テラスに出ます。
広さは少しコンパクトですが、遮るものがほとんど無いので開放感たっぷりです。

地下に降りると、ガラスの壁で仕切られる台形の多目的室があります。
地下なので温度が安定しているようで、夏は快適でしょう。
光は、階段から取り入れています。
隣がシステム洗面台と洗濯機が納まる洗面所、システムバスの窓はドライエリアの庭に面しています。

その奥が寝室、コンクリート壁の広い空間です。
ドライエリアの庭にも面していて、階段室からドライエリアの庭を介して寝室に入れます。
クロゼットは洗面に続く壁の鏡の扉の奥にあるようですが、はっきりは分かりません。


壁が双曲放物面を描く家 は、鉄骨造 一部RC壁式構造、敷地面積108㎡で建築面積65㎡、延べ床面積212㎡です。
地階は69㎡で1階は48㎡で2階は56㎡で3階は18㎡、車庫部分を引いても、3人家族としては十分以上で余裕のある広さを確保しています。
建築費は7600万円で坪単価は118万円、鉄筋コンクリート造の地下室に加えて特殊な形の鉄骨3階建て、さらにこだわりのデザインや仕上げ材などを考えれば、高価となるのは仕方の無いところかもしれません。

今回の住まい 東京都目黒区・宇野澤邸−壁が双曲放物面を描く家 は、双曲放物面がポイントでした。
住宅としては無駄の多くなる上に難しい形なのですが、その無駄となる部分を上手くデザインすることで個性的で似たものがない空間を創作。
インナーガレージやスニーカー棚など、住まい手の趣味の空間作りも印象的でした。

多くの工務店が作れないという特殊な作りが、コスト高や無駄なスペースを招いていたという弱点もありました。
とはいえ使いやすさの点でもかなり優秀でこだわりの強い特殊な空間作りという、掛けたコスト以上の魅力を備えた印象的な住まいだったといえそうです。

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