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アルゴリズムから生まれた家

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渡辺篤史の建もの探訪 埼玉県さいたま市・清水邸-アルゴリズムから生まれた家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 アルゴリズムから生まれた家 は、哲学者で大学准教授である清水さんの住まいです。
建物の外観は、数本の白いラインが中央でクロスしていて、さらに半透明の壁に囲まれる独特のデザイン。
コルビジェによる近代建築の5原則のスケッチを実体化したような、コンセプトの強い形でもあります。
数学とコンピューターで計算された、アルゴリズムデザインを取り入れているとのこと。

敷地の周囲は砂利敷き、白い枠に囲まれた白い玄関ドアを入ると、靴を脱ぐスペースのみコンクリート床で、他は白い床に白い壁が続きます。
室内には外観のようにクロスしたラインに合わせて階段を配置、その階段も複数が組み合わさったかたちで、かなり複雑な動線であることが分かります。
禁欲的な真っ白の空間を、複雑な配置とすることで、生活する空間である意味合いを加えているようです。
カーテンも白で壁ガラスは透明、斜めの部分にもカーテンを取り付けていて、カーテンの白が外観からは半透明の壁として見えていたようです。
つまり外壁のほとんどが透明ガラスと、個人住宅とは思えない大胆デザインンを採用しています。

内部空間は基本的に壁無しで繋がっているようで、白い床の帯がクロスした階段部分とスキップフロアとなっていることで、部屋毎の視線を適度に遮る形です。
広い玄関ホールから、左手の階段を数段上がるとリビングです。
床はベージュ色のじゅうたん敷き、手作り風の木製家具を配置して、白い禁欲空間に潤いを与えています。
見下ろした先は食事スペース、キッチンはリビングと同じ床の高さ、降りてダイニングと分離しています。
見上げると、階段で数段上がった床面に書斎の本棚が並び、空間の繋がりを感じることが出来ます。

1.5階のリビングから数段上がると2階の書斎、壁の3面に白木の本棚が並び、この住宅の中としては囲まれ感も演出されているようです。
シックなカラーの机があり、階段の隙間からキッチンを見下ろす位置となります。
さらに階段を数段上がると、階段の傾斜で斜めになっているガラス戸をあけて、屋上空間に通じます。
屋上も白い空間で、外壁のラインを利用した手摺つき。
さらに数段上がった屋根部分も屋上テラスで、こちらは白いシンプルな手摺つき。
2層4面のスキップフロア屋根全面が屋上空間で、防水の点が気になるものの、開放的でダイナミックな空間です。
屋上空間は2層2面ごとに2つに分かれていて、相互に行き来が出来ない(斜め部分から無理すれば移動できそうですが)作りです。

いったんリビングに下りて玄関上の階段を数段上がると亡くなられた妻の部屋、日当たりの良い明るい部屋で、遺影と共に本棚や椅子も置かれています。
ここからも、数段階段を上がると屋上に出ることが出来ます。

玄関正面の階段を数段上がると、1.5階のキッチンスペース。
白いカウンター一体キッチンは、比較的コンパクトなシンクとガスコンロの組み合わせ。
背面に奥行きが浅い収納付きで、冷蔵庫も白い壁で囲っています。
ただカウンターが手摺無しの階段(廊下)側にあるので、実用的とはいえません。
一人なのでここで食事も時々するそうですが、調理側に座って食べることになります。

本格的に食事する場合は、数段下がったダイニングスペースに移動です。
書斎の机と同じカラーの食台に本棚も置かれ、キッチンからダイニングまで床は白です。
数段下がるとベッドルームで、他の部屋との繋がりを最も多く感じられる部屋ですが、テレビの背面ケーブルが見えてしまいますし、階段廻りの段差に転落防止の手摺がない点も気になります。

ダイニングスペースや玄関から数段下りると、半地下の水廻り。
廊下の床が木で、水廻りを囲む白壁の上部はガラスとして明り取りとしています。
洗面とトイレと浴室がワンルーム、ステンレスカウンター一体の洗面台にタンクレルトイレの組み合わせです。
浴槽はスクエアタイプの大型、腰上の窓はブラインドで目隠ししています。
床は白っぽいタイル、一人や夫婦だけなら問題なさそうなワンルーム水廻りです。

寝室へ降りる階段は玄関とダイニングから、床は水廻りの廊下と同じ木板です。
ベッドだけが置かれたシンプルな部屋で、見上げる白い階段部分が夕方になると黄色く染まるようです。
全周を覆う黒い遮光カーテン付で、閉じると相当暗くすることも出来ます。


アルゴリズムから生まれた家 は、鉄骨造、敷地面積89㎡で建築面積52㎡、延べ床面積104㎡です。
半地下と1.5階を含む4層となる各階の面積は不明、現在一人の住まいとしては(奥さんの部屋付きとしても)十分以上の広さを確保しています。
建築費は4850万円で坪単価は154万円、やはり究極のデザインコンセプトを実現したこだわり住宅では、ガラスの多さや半地下も加わって、シンプルな仕上げや水廻りでもコストが高くなってしまいます。

今回の住まい 埼玉県さいたま市・清水邸-アルゴリズムから生まれた家 は、4層の床をフレームとして使った、コンセプトの強いデザインが印象的でした。
クロスした階段部分を柱とみなしたデザインは、鉄骨の特長を最大限に活用することで生み出されたようです。
アルゴリズムによる設計については効果が分かりにくく(コルビジェのコンセプト模型に階段クロスを入れてスキップフロアとした印象)、手摺無しの段差部分や屋上の防水など、デザイン優先ゆえに気になる部分も多く見られました。
とはいえ、はっきりしたデザインコンセプトを忠実に再現した見事なデザインや空間構成が、強く印象に残る住まいだったといえそうです。

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