劇的!ビフォーアフター 物件176 裸で庭を駆け抜ける家 で出てきたアイデアをチェックしましょう。
今回は、なかなか風情のある京町家ノリフォームです。
昔ならではの水廻りが離れになる作りなので、使いにくさが目立つ状態です。
階段も使いにくく、2階は天井が低く雨漏れで傷んでしまっています。
おばあちゃんの一人暮らしとなるので、1階に機能を集約することがポイントのリフォームとなりそうです。
解体してみると、柱の足元は土に埋もれています。
その足元は切り取ってコンクリートで基礎を作り、金物で緊結しました。
ちょっと不安も感じるような基礎ですが、隣家とつながる町家なので、これくらいがバランスが良い基礎ともいえるのでしょう。
細めの床梁も補強しています。
吹き抜けは残して、上部の暖かい空気を下に降ろすダクトを設置しています。
冬は暖かい空気を床まで下ろし、夏の暑さは外部へ排気させます。
吹き抜けの暑さや寒さ対策としては、堅実な手段を採用ですね。
比較的新しい屋根は小さなトップライト部分を拡大、吹き抜けに明るさを確保します。
そこにL字型の壁を設置して、強度を確保しつつ水廻りの間仕切とする上手い補強方法を採用です。
壁は町家らしい漆喰で仕上げ、水廻りも屋内の土間だった場所に設置です。
吹き抜け部分にはFRP(繊維補強プラスチック)のグレーチングを設置、光を通すメンテナンス用床となります。
キッチンもこのならびに設置して、水廻りを集約しました。
古い階段はそのまま、背板をなくして踏み幅を増やし、展示・テレビスペースとしても活用です。
階段の急さが残るところは少し気になりますが、上手い再利用法といえるでしょう。
スタイロフォーム製の軽いベッドを設置、4つに分割した形で移動しやすくしています。
ズレが気になるところですが、面白いアイデアといえるでしょう。
素材が柔らかいので やさしいベッドとなりますが、耐久性や湿気の面では不利になりそうです。
そのベッドスペースのすぐ近くに、トイレや洗面所への動線を確保して、使い勝手を向上しています。
寝室からトイレや浴室までをワンルームとできる、面白い部屋の完成です。
外壁は既存の素材を生かして、綺麗に塗りなおしました。
既存の土間の低さを利用して玄関として、式台をつけて上がりやすさを追加しました。
ベンチと手摺の追加で、使いやすさをアップしています。
玄関脇の客間はほとんどそのまま再利用、押入れ部分を取り払ってミシン台を設置、引き出してアイロン台など自由に使えるアイデアミシン台です。
外部に面する窓には内窓も設置して、暑さ・寒さ対策も強化しています。
その奥はダイニングキッチンとして、開放的な階段やトップライトと相まって、明るい生活スペースを確保しました。
コンパクトにまとめられたキッチンは、高さや収納を使うおばあちゃんに合わせています。
吹き抜け部分にはスライド障子を設置、寒さ・暑さ対策も強化しています。
古い扉を再利用したダイニングテーブルは、天板を広げることも出来ます。
ただこの作りはシンプルながら片腕で支える状態なので、耐久性に問題がありそうです。
一直線に並ぶ水廻りには、トップライトからの明かりが落ち、浴室は桧板貼りで庭に解放できる作りとなります。
全体の通気を考えると面白い作りで、さらに庭の下屋部分の物干場にもつながります。
坪庭も一新、縁側から十分楽しめる庭となりました。
2階も一新、吹き抜けから明かりを取り入れ、天井を屋根まで上げることで十分な高さも確保しました。
2階の和室は天井の低さを生かした、落ち着いた空間に生まれ変わりました。
天井の高さには適材適所があるという、良い見本ですね。
2階の2つ目の和室からは、水廻りの天井上に出ることが出来ます。
劇的!ビフォーアフター 物件176 裸で庭を駆け抜ける家 では、1階に機能を集約して2階を比較的自由に使う空間とする、町家リフォームとして見本となる改修計画でした。
1階を使いやすく、2階を自由に使える空間とすることで、将来の同居にも対応できそうな計画となりました。
強度や耐久性などについては気になる部分があるものの、豊富なアイデア自体は活用できそうなリフォームだったといえるでしょう。