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家族をつなぐ鉄錆の家

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渡辺篤史の建もの探訪 東京都世田谷区・滝川邸-家族をつなぐ鉄錆の家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 東京都世田谷区・滝川邸-家族をつなぐ鉄錆の家 は、夫婦と子供二人、さらに御両親の6人のための住まいです。
外観は打ち放しコンクリートの箱の上に、先が細くなった錆びた鉄の箱が載る、非常に個性的なデザインです。
錆びた鉄はコールテン鋼と呼ばれ、表面が錆びた状態で安定する特殊な鉄です。
窓までコールテン鋼で作ることで、一体感を出しています。
駐車場部分と玄関の前を少し空けただけで、他は敷地いっぱいに建物が建ちます。

正面はコンクリートの中に木で仕上げた2つの引き戸と、ガラス窓を組み合わせています。
右側のドアは、ご夫婦のアトリエにつながります。
大きなガラス窓付きで、壁はコンクリート打ち放し仕上げです。

階段下もスペースとして活用、裏のガレージ側も大きな窓で、明るさや開放感を高めています。
ガレージの奥にはシマトネリコが一本植わり、向かい側の御両親の生活スペースに潤いを与えています。
両親と夫婦家族の住まいは、玄関から分かれるつくりです。

夫婦家族の住まいには、正面左側のドアから入ります。
コンクリートの階段の2階からは、天井まである高い窓から明るい陽射しが降り注ぎます。
階段を上るとオブジェや古いステレオがあり、アトリエ同様にアンティーク調の置き物をうまくインテリアとして使っています。
窓からは、ガレージのシマトネリコも見えます。

2階のLDKは約20畳、高い天井や高窓で、明るく開放的な空間です。
白い壁や天井も、明るさを強調してくれます。

木製カウンターのキッチンは長く延びて、ダイニングテーブルも一体として兼ねるつくりです。
コンロや冷蔵庫を流しの背面にビルトイン、キッチン収納を含めて一体感のあるデザインでまとめています。

流しの正面も大きな窓で、ここからもシマトネリコの緑が見えます。
コールテン鋼のオレンジ色の壁も見えて、オレンジと緑の色の対比でお互いが引き立ちます。
さらに高窓も備わり、明るく開放的なダイニングキッチンです。

リビングスペースは3枚引きの大きな窓、天井高さはそこそこで、ダイニングキッチンより少し落ち着いた空間となります。
床はチークの無垢材、塗装してないので色が濃すぎないところにセンスを感じます。

窓の庇は薄いコールテン鋼製で、テラスの腰壁もコールテン鋼のオレンジが目立ちます。
テラスの床は木でリビングの床面を合わせ、一体として使えます。
テラスを介して、御両親の住まいにもつながります。

適度にコンパクトな洗面所を介して、ガラス戸の浴室につながります。
洋風バスで洋風シャワーやハンガーパイプ付、四角い窓から光が入り、換気も出来ます。
洋風な浴室ですが、浴槽の奥は掃除しにくくなります。

子供部屋は、外観そのまま壁が斜めになっています。
コールテン鋼で作った四角い窓には、コールテン鋼の錆が流れています。
ただ錆はだいたい落ち着いてきているようなので、これ以上ひどくはならないはずです。

階段から3階に上がると、書斎スペースがあります。
階段ホールの上部に木格子の床が続き、少しくつろげるスペースも確保されています。
高窓から陽射しが入り、キッチンともつながっているのでコミュニケーションが図れます。

階段ホールの1面だけの木板仕上げは3階までつながり、書斎脇の木板仕上げのドアと木格子床先のドアから寝室に入れます。
寝室には扉が2つ付き、将来は仕切って子供部屋になるようです。
そうなると、現在の子供部屋が夫婦の寝室となります。


御両親の住宅スペースは、作業場として使っているガレージにある白い扉が玄関となります。
コンパクトな玄関スペースから入ると、ワンルームのスペースにつながります。

キッチンはコンパクトな壁付きで、ダイニングを含めて夫婦2人にぴったりのサイズです。
壁の1面には家具が並び、木板と鉄の足を組み合わせた自作の食台など、センスが光るインテリアです。
段板と手摺だけのシンプルな階段で、2階の共用テラスにつながります。


東京都世田谷区・滝川邸-家族をつなぐ鉄錆の家は、RC造S造、敷地面積127㎡で建築面積89㎡、延べ床面積177㎡と、アトリエ付きの2世帯住宅としては標準くらいの広さでしょうか。
1階は84㎡で2階は69㎡で3階は24㎡です。
建築費は5046万円で坪単価94万円、RC造とコールテン鋼とそこそこ良い仕上げなので、シンプルな空間ながらコストは高めとなっています。
ただコールテン鋼の窓やビルトインキッチンなどコストがかかる部分が多い割りにコストが抑えられているのは、シンプルな空間つくりによるものでしょう。

今回の住まい 東京都世田谷区・滝川邸-家族をつなぐ鉄錆の家 は、コールテン鋼の先細りのデザインが最大のポイントと言えそうです。
オレンジ色を室内でも感じられるようなつくりと斜めの壁で、開放的で明るく個性的な空間を作り出しています。
高窓を使用することで、明るさと空間の開放感を加えていて、このあたりは一般的な住まいでも活用できそうなアイデアといえるでしょう。

独立型の2世帯住宅の御両親のスペースは、ワンルームでコンパクトにすることも効果的といえそうです。
今回の住宅は個性的なRC造とコールテン鋼の組み合わせですが、2世帯住宅の作り方や広さとつながりを感じる空間の作り方などの点で、一般的な住まいでも参考となる住まいだったといえそうです。

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