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11坪の家に10層のフロア

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渡辺篤史の建もの探訪 東京都文京区・谷口邸-11坪の家に10層のフロア で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 11坪の家に10層のフロア は、ご夫婦とお子さん二人、4人家族の住まいです。
建物の外観は、黒い縦長ボックスタイプ。
コンクリート床の駐車場にはビートルが止まり、その奥の壁は庇(キャンチレバー部分)に向かって曲線で持ち上がります。
少し出っ張っている玄関部分の庇も同じ曲線を描きますが、出っ張っている分だけ曲面は分かりにくくなります。
細い路地に面した敷地で車を入れるのもかなり大変そう、工事には重機が入らないので、3階の高さがありながら木造となったようです

黒い玄関ドアを入ると、正面が黒い壁、床も黒の大判タイルです。
その他は玄関収納を含めて白、黒と白がコントラストのシンプルモダンな印象でまとめています。
玄関収納上の飾り棚には般若のお面が飾られ、左手奥にある階段は白木の集成材を組み合わせた片持ちタイプのようです。
右手の白壁には、イームズデザインのハンガーが付きます。
玄関周りはアーチ状の曲面壁(駐車場壁の反転でしょう)で仕切られ、カプセルに入るような印象で玄関に出ることになります。
上端には横長の隙間があり、上階の陽射しが玄関まで下りてきます。

玄関正面の黒壁は天井近くで切れていて、隙間から上部の床が伺えます。
各層が細い隙間で繋がる、独特の空間であることを予想させてくれます。
玄関正面の部屋は水廻り、黒いタンクレストイレ付きの洗面所に、透明ガラスで仕切った浴室が繋がります。
洗面カウンターはシックなマホガニー、全面鏡扉の収納下の壁も鏡として、広さを感じさせてくれます。
さらに収納上部の斜めに取り付けられたハーフミラー?を通して、玄関上の明かり隙間が見えます。
床は玄関と同じタイル、壁は白壁にグレーの大判タイル(浴室壁は全てこのタイル)を組み合わせたモダンデザインです。

水廻り前の幅広通路に洗濯機とミニキッチンが置かれ、奥の和室に通じます。
将来ご主人のお母さんとの同居も可能な造りで、4畳半の縁無しタタミの床で壁一面には収納棚が付きます。
掃き出し窓に縦長窓を組み合わせ、通気をしやすくしています。
ここは水廻りに面する壁が黒、上部がガラスとなっていて、ダイニングと繋がります。
天井には梁型が出ていて、高さもギリギリで作っていることが伺えます。

階段を上がると正面壁に収納棚が置かれ、その先がキッチン、振り返るとダイニング空間となります。
ダイニングの先はさらに数段上がってリビング、基本は白い壁と天井に、ダークグレーの天井や壁を組み合わせています。
キッチンが2段上がっているのは使いにくく疑問がありますが、その隙間のおかげで和室上部とのつながりが出来ています。
筋かいや梁を見せる造りで、梁は仕上げ、筋かいは木色を生かした塗装で仕上げています。
柱は袖壁をつけて隠し、筋かいだけが目立つモダンデザインを強調しています。

リビングの先には路地に面する大窓があり、その手前には3段下がったインナーテラスのようなサンルーム空間。
床の段差は玄関上の隙間につながり、リビングを仕切る両袖壁柱には棚をつけて、子供が遊べる陽だまり空間です。
LDKだけで4層の段差違い、ちょっとやりすぎ感もあり、慣れていないお客さんはつまづきそう。
天井が高い居間にはコルビジェデザインのソファー、ダイニングとの間の筋かい部分には棚をつけて、穏やかに仕切っています。
階段廻りの壁には飾り棚をつけて、家族が好きなアイテムを飾っています。

ダイニングは天井の梁を柱壁と同じ仕上げで一体化、門構えのような形で見せています。
そのダイニングの窓は隣家の壁に近いものの大きめ、床の高さを下げることで隣家(小窓だけで他は壁ですが)との視線を外しているのかもしれません。
リビング同様にダイニング空間も必要最小限、ステップで視線が切れつつ空間は繋がっているので、狭さは感じにくくなります。
L字型のキッチンはブラック、壁側にシンクとガスコンロが備わり、ダイニング側はダイニングからも中身が見える収納カウンターとなります。
天井はダークグレーが基本、吊り戸棚や背面の収納は白で、冷蔵庫も白です。
シンク前の窓に冷蔵庫前のジャロジー窓がつき、2方向通気がここでも守られています。
このLDK空間は、時計や照明にもデザイナーの製品を活用、設計者とごj主人のセンスが光る上質なモダンデザインに囲まれる空間としてまとめられているのです。
キッチン横には2畳のパントリー付き、キッチン空間の広さは充分取っています。

3階に上がると、正面の部屋が階段床から1段降りた寝室。
書斎となる机(こちらも黒)に、高い位置に4つも窓があり、ダイニング上の細い吹き抜けにも通じています。
その書斎の椅子もイームズ、デザイナーズ家具の展示場のような豊富さです。
ダイニング上の吹き抜けの隣は納戸、天井高さを1.4mに抑えた、床に計算されない空間です。
両側に窓があり、寝室と居間に通じる、子供の遊び場でもあります。

さらに階段を上がると、リビング上部の子供部屋に出ます。
真ん中で仕切れる空間造りで、転落防止の手摺(+網)付き窓の両側に収納があります。
窓部分はガラリ戸で仕切ってサンルームとしても使える作りですが、ちょっと盛り込みすぎで、仕切って使う場合には使いにくさが出てきそうです。
階段とは3枚引き戸で仕切ることが出来、3段ほど上がった納戸の上部にアトリエ空間があります。
ここの飾り棚にはレゴ・アーキチェクチャーのサヴォア邸とファンズワース邸、建築好きなご主人です。
電子ピアノも置かれ、家族がいろいろと楽しめる空間でもあります。
数段上がった窓の先には、屋上デッキが広がります。
上端が斜めの外壁で適度に区切られる空間で、水栓も備わり多目的に使えそうです。


11坪の家に10層のフロア は、木造、敷地面積63㎡で建築面積36㎡、延べ床面積100㎡です。
1階は29㎡で2階は36㎡で3階は36㎡、小部屋が多いものの4人家族として必要な広さをなんとか確保しています。
建築費は2570万円で坪単価は85万円、木造としてはかなりの坪単価ですが、コンパクトな3階建てで多層の床、こだわりの形や仕上げ材や設備を考えれば、木造ながら高価となる点も納得できます。

今回の住まい 東京都文京区・谷口邸-11坪の家に10層のフロア は、狭い敷地を最大限に活用する多層床が印象的でした。
床の高さを変えただけでなく、部屋の間に隙間をつくることで家族の繋がりも作り出していました。
いたるところに設けられたアイデア棚やシステムに則ったカラー分けなど、モダンデザインの中に楽しさも加えてまとめていたようです。
床に段差が多く、小部屋に分かれすぎていたところは好き嫌いが強く分かれそうですが、モダンデザインの中に空間の繋がりを加えるセンスの良いアイデアに感心させられる住宅だったといえそうです。

穏やかな光に包まれる家 11坪の家に10層のフロア デザイン3様の3世帯住宅

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