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デザイン3様の3世帯住宅

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渡辺篤史の建もの探訪 東京都練馬区・鈴木+瀧澤+鈴木邸-デザイン3様の3世帯住宅 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 デザイン3様の3世帯住宅 は、建築家の夫婦にお姉さん夫婦、さらにお母さんで3世帯5人家族の住まいです。
建物の外観は、四角いモルタルのボックスに切り妻の木の箱を組み合わせた独特なもの。
モルタル部分の2階は一部キャンチレバーで持ち出して、玄関庇の役目を持たせています。
キャンチレバーの下が玄関ドアと大窓、そこから玄関内を通して中庭まで透けて見えます。

玄関脇のポストは3つ分、白い枠の玄関ガラス戸を入ると、モルタル床の玄関土間空間が広がります。
白い壁の空間で、中央に大きなテーブル収納を配置。
夏みかんが植えてある中庭側も、全面ガラス窓と白枠ガラス戸で見通せます。

玄関右手のドアの先にあるのが、建築家夫婦の空間となります。
天井が吹き抜けで高い土間のLDK空間、奥に1段(実質は2段の高さ)上がった板の間があり、その先が水廻りというワンルームで独特の空間です。
水廻りの上が寝室、この部分が木の床と壁、さらに吹き抜け上のトップライト付き天井も天井根太(ツーバイフォーの作り)と合板を見せた木質デザインとなります。
道路側の窓がない壁面にキッチン、長いステンレスワークトップに大型シンクとIHヒーターを組み合わせたシンプルデザイン。
下は空間をあけただけの収納スペースで、IHヒーター廻りをステンレス壁で覆っています。
側面に冷蔵庫スペース、上部はエアコンも入る木製の吊り戸棚で、こちらも扉無しでシンプルにまとめています。

中庭側に大窓、対面側にも大窓が入り、明るさを十分に取り入れています。
中庭壁と水廻りとの隙間にも2層分の縦スリット窓が入り、一般的な木造住宅では考えられない窓の大きさや高さが印象的です。
非常に長い食台の上に、裸電球の照明が8つほど吊り下がり、揺れた照明となります。
その食台は昔の実家の梁を加工したもので、室内に見える2本の木の柱も従来の実家そのままの位置で再利用しているそうです。

土間のLDK空間には、コルビジェの寝椅子LC4が置かれます。
木床の小上がり部分の壁面には、外壁と同じ杉板を無塗装で使用、小口面を上に見せているところが独特(普通は框を使うか、床板の小口を見せます)。
中庭側の大窓は下部分が引き違い窓で、上部のFIX窓を仕切る無目に木板を貼っています。
対面の大窓は2段のFIX窓に勝手口ドアの組み合わせ、無目と方立ての十字型に木板を貼っています。
入口上部には姉世帯のキッチン部分がキャンチレバーで飛び出していて、上がアーチの小扉付きながら開け閉めは不可。
グリーン系の壁の色で、違う空間であることを強調しています。

水廻りは洋風バスタブに壁付きのシンプル洗面器の組み合わせ、周囲の床や壁の仕上げはFRP防水としています。
階段側の木板壁側が洗濯機置場、腰高窓が2つ付き、間の方立てはステンレスで仕上げているようです。
床の段差は最小限で水勾配付き、仕切りはガラスの垂れ壁に防水カーテンのみと大胆な作りの水廻りです。

段板のみのオープンな階段をあがると寝室。
合板仕上げのオープンな空間で、現在は建具無しにLDK空間と繋がっています。
収納は可動式とすることで、将来の家族構成の変化に備えています。
現在は二人の為の空間なので、非常識なほどの開放空間が生まれているようです。

玄関の左手がお母さんの空間、両開きの大きな木製戸で玄関と繋がります。
正面が対面式のキッチンで、左手には上(姉世帯)に上がる階段が備わり、こちらが姉夫婦の入口にもなるようです。
こちらの床板はウォールナット、L字型に続くLDK空間は中庭に面しています。
II型のキッチンは、入口側がシンク付き、壁側がIHヒーター付きで人造大理石のワークトップ。
木質系の吊り戸棚や腰壁と柱で、軽く仕切られます。
ここの柱も昔の位置そのままに再利用しています。

リビングダイニング空間は、中庭側に透明ガラスの大窓、対面には型ガラスで明るさだけを取り入れる大窓が付きます。
その対面窓は下部が引き違い窓、仕切る無目に合わせた高さに飾り棚が壁から伸びています。
中庭側の大窓は大きな引き違いの上に、FIXの大型欄間が付く形で、こちらの無目も木板で化粧。
床には大きめの掘りゴタツが備わり、壁には上がアーチの扉が4つ色違いで付きます。
2つがダミーで2つが同じ寝室につながる、デザインのみを重視した扉でした。

寝室の隣がLDKと繋がる収納スペース、本棚の間の扉の先が水廻りです。
トイレと洗面と洗濯機置場がワンルーム、透明ガラスの扉と壁で仕切られる浴室は床と壁が白いタイル仕上げです。
浴槽は四角い大きめのタイプで、手摺付きです。

キッチン脇の階段を上がった2階が、お姉さん夫婦の空間。
シックな色の引き戸を開けると、LDK空間が広がります。階段側の壁と棚が濃い木質調の仕上げ。
階段壁の上部はスリット窓が入り、明るさを取り入れています。
リビング空間の天井は切り妻屋根を利用した勾配天井で合板仕上げ、奥の数段上がった屋根裏部屋のような寝室空間では垂木梁を見せて天井高さを確保しているようです。
テレビ収納の奥の板は有孔ボードを黒く塗装して仕上げ、対面にはマレンコのソファーが置かれています。
中庭側に台形の窓が備わり、デザインされた明るさを取り入れています。

ダイニングキッチンは床が1段下がり、天井は天井根太を見せた、弟夫婦の空間と同じ作り。
キッチンは木質系仕上げのシステムキッチン。
ステンレスのワークトップにガスコンロ、コンロの周囲はステンレス仕上げと素直なデザインを採用しています。
道路側の大きめな腰窓に吊り戸棚上の窓、さらに中庭側のバルコニー前に欄間付きの大窓がある明るい空間です。
リビングとの間にある壁は額縁のように開口が空き、黒く塗装した壁を少し見せて外観の違いを室内でも強調。
バルコニーの手摺は2段のバーでシンプルに仕上げ、視線を遮らないデザインとしています。

リビング収納の奥が水廻り、スクエアな洗面台とスクエアな浴槽がヨーロッパ風。
浴室の仕切り壁は腰高窓と同じ高さで透明ガラスになる、ワンルーム的なデザインを採用しています。
洗濯機置場の横がトイレの引き戸、浴室はFRP防水仕上げで、全面トップライトの天井まで一体として仕上げています。
床は洗面所までタイル仕上げ、入口の扉の横にネコ専用の出入口もついています。

寝室にはベッドと仕切り通路を作るような位置にクローゼット家具を配置、寝室奥から屋上テラスに出ることが出来ます。
屋上テラスは弟さん世帯の寝室にもつながり、弟さん世帯の寝室廻りの外壁が木板仕上げであることが分かります。


デザイン3様の3世帯住宅 は、木造在来工法、敷地面積244㎡で建築面積144㎡、延べ床面積235㎡です。
1階は129㎡で2階は106㎡、3世帯5人家族としても十分、将来の家族の増加にも対応できる空間の広さを確保しています。
建築費は不明ですが、吹き抜けの多い空間やこだわりの仕上げや大窓、3つの水廻りやデザイン設備機器を考えれば、建築家の発注とはいえ標準より少し高目となりそうです。

今回の住まい 東京都練馬区・鈴木+瀧澤+鈴木邸-デザイン3様の3世帯住宅 は、中庭と3世帯のワンルーム空間を上手く組み合わせたところが印象的でした。
同じ敷地にあった昔の実家の柱や梁材の一部を再利用して、思い出を繋いでいたところも特徴的。
3世帯ながらそれぞれが基本的にワンルームなので、シンプルな使いやすさも備わっていたようです。
中庭周りに部屋を配することで、明るさをたっぷり取り入れつつ、世代間の緩衝帯としても活用していました。

ワンルームの水廻りは子供が出来た(大きくなった)時に問題になりそうですが、建て主が建築家なのでリフォーム前提なのでしょう。
デザインの点でも、外観の違いを室内にも取り入れることで変化をつけ、家族ごとにテーマを決めつつ、全体的には同じデザインも織り込むことで見事にまとめていました。
リフォームしやすいオープンな空間作りや一つ外して2世帯住宅にも応用しやすい、シンプルな多世帯住宅作りの好例として参考に出来る住まいだったといえそうです。

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