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9坪×10m縦型ワンルームの家

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渡辺篤史の建もの探訪 神奈川県横浜市・本泉邸-9坪×10m縦型ワンルームの家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 9坪×10m縦型ワンルームの家 は、ご夫婦とお子さん二人、4人家族の住まいです。
建物の外観は、白いガルバリウム鋼板波板仕上げの縦長ボックスタイプ。
敷地が狭いため庭はほとんどなく、表から見える敷地の隙間部分は芝生張り、3階建てとすることで室内の広さを稼いでいるようです。
引っ込んだアプローチ部分がコンクリート床の駐車スペースで、その上の外壁は斜めになっています。
屋上には手すりやプランターが見え、屋上庭園があることも伺えます。

玄関引き戸の隣は大きな透明ガラス窓、そこからご主人の趣味である自転車が見えます。
玄関ホールは吹抜けが3階まで続き、隣には屋上まで続く白い鉄骨のスクエアラセン階段があります。
手摺には白い網を張って転落防止、壁は合板を薄く白っぽく塗装、床は白でクリーンな印象としています。
正面の3つの白い扉はポリプロピレンのハニカムパネル、軽く断熱性能も期待できますが、金物が取り付く部分の強度は少し心配かもしれません。
その扉は一つが靴箱、一つがトイレ、一つが寝室に通じます。
トイレは玄関収納部分が欠きこまれたL字型、こちらの壁も合板に薄い塗装仕上げです。

寝室は大き目の縦長窓で適度な明るさを確保、同じ合板塗装の壁には、お子さんと一緒に描いた絵が浮かびます。
深くウォークインタイプとなるクローゼットの扉もハニカムパネル、仕上げの素材を統一することでコストを抑えているようです。
低めの天井の裏には天井収納付、上に開く扉のみでつながり、出し入れする際には椅子や脚立を利用するのでしょう。
寝室の向かい側が水廻り、集成材のカウンターに洗面器を組み合わせた洗濯機置き場付きの洗面所には、鏡扉の収納が備わります。
浴室を仕切る扉も光を柔らかく通すハニカム、壁から床まで?FRP防水仕上げで、大き目の縦長窓から光が入り、通風は浴室から廊下を介して寝室を通じてとる形。
物干しバーに浴室暖房乾燥機付きで、機能的にまとめています。

階段部分の壁を1面だけ扉と同じハニカムとして、風道を作っています。
1階の足元や3階天井近くに隙間を空けて上下にファンを設置、暑い時期には上に上がった熱を排熱、寒い時期には上の温かい空気を1階まで送り込む仕組み。
建物の高さを生かした、効果的な排熱・採暖方式を取り入れています。
さらにその空間には照明も組み込まれ、夜には行燈のような明かりとなるようです。

階段を上がると水廻り上の2階部分がリビング、天井が吹抜けで高く、正面から見えた斜め壁で広さを確保。
窓は寝室や浴室と同じ大き目の縦長窓、下端が低めですが、テレビ台を兼ねるカウンター棚で転落防止としているようです。
ソファーベッドも置かれ、子供の遊び場も兼ねる空間となります。
数段上がったダイニングキッチン部分と、階段と吹抜けを介してつながります。
将来はリビングやダイニングキッチン上部に床を作ることができるようで、床を支える梁があり、ラセン階段の位置や高さも考慮、子供部屋2つをしっかり増やせるよう です。

数段上がるとダイニングキッチン、ラセン階段の途中で入る形なので、階段側面を支える側桁が少し出入りの障害(リビングも同様)となっています。
鉄骨製なので切り込む方法もあったはずですが、デザインを優先したのでしょう。
キッチンはアイランド型で、食卓を一体で組み合わせています。
四角い集成材のワークトップ兼食卓に、シンクと蓋付きIHヒーター、その間をカラフルなモザイクタイルで仕上げて調理スペースとしています。
ヒーターを蓋付きとしたのは食卓部分を広げるためのようで、子供が大きくなると4人で食事中のIHヒーター使用は難しくなるかもしれません。
蓋も奥さんには若干重そうで、スペースを考えると仕方のないことかもしれませんが、使いやすいとは言えないダイニングキッチンに感じられます。
キッチン背面壁に食器棚と冷蔵庫、キッチン下は収納として収納空間を確保、食洗器を入れる空間もキッチン下に確保されているようです。
さらに床下には、寝室の天井収納とつながる床下?収納も備わります。

壁の塗装はすべて、ご夫婦と設計者夫婦や友人で行ったようです。
これだけ広いと塗装にかかる費用も大きくなるので、コストを抑えるにはいい方法といえますし、住まいへの愛情も深まります。

階段をさらに上がると台形の塔屋に到着、玄関と同様(ながら台形)の大窓付引き戸から屋上にでられます。
屋上テラスは周囲の住宅の屋根より高いので見晴らしがよく、4方を見渡すことができます。
塔屋も含めた白いFRP防水仕上げの上には必要な部分にだけ人工芝を敷き、窓の上部にはフックをつけて、手摺との間に日除けのタープを付けられます。
手摺の網にはプランターの蔓を這わせて、手摺を緑化しつつあります。
台形の塔屋には水栓付、光を取り込むような造形に機能を加えています。


9坪×10m縦型ワンルームの家 は、木造在来工法、敷地面積50㎡で建築面積30㎡、延べ床面積56㎡です。
1階は26㎡で2階は27㎡、4人家族としては現状ではかなり小さめながら、天井の高い空間に増築可能なスペースを確保しています。
建築費は1599万円、坪単価にすると94万円を超えますが、敷地の狭さや増床可能な高い天井などを考えると仕方のないところでしょう。

今回の住まい 神奈川県横浜市・本泉邸-9坪×10m縦型ワンルームの家 は、高さを利用したオープンな空間と排熱採熱システムが印象的でした。
玄関と階段の空間を塔屋までの吹抜けとすることで、明るさや通風や排熱採熱空間として活用。
リビングダイニングの壁は無くして、スキップフロアで視線を調整しつつ、開放感を演出していました。
素材を統一することでシンプルな印象を高め、ハニカム扉で明るさが漏れる仕切りとして明るさを確保していました。
スキップフロアで区切られたことによるダイニングキッチンの狭さはアイデアで解消、若干の使いにくさは予想されるものの、興味深いアイデアとも言えそうでした。
狭い敷地を逆手に取った、高さを生かしたシンプルなつくりは、個性的ながら印象的な住宅だったといえそうです。

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