住まいの玄関廻りにユニバーサルデザイン・バリアフリーを取り入れる場合に、確認しておきたいことや注意すべき点を紹介しましょう。
まず玄関までのアプローチについては、ゆっくりしたスロープとしましょう。
勾配は1/12以下を基本として、車椅子で自走する場合は1/15以下とした方が安全です。
玄関ドアの高さまでの高さ400mmくらいを登るためには、4.8m(1/15では6m)の長さのスロープが必要となります。
かなり長いので、折り返したり玄関の高さを低くするなどの工夫が必要な場合も多くなるでしょう。
段差が苦手な足が弱い人や小さい子供の為にも、優しいアプローチとなります。
スロープの最低基準は1/8ですが、その勾配のスロープを実際に見たり車椅子で登ったりすると、かなり急な傾斜となるので注意が必要です。
玄関ドアの足元の段差についても、出来るだけ少なくします。
通常の玄関の30mm程度の段差は意外につまづき易い段差となりますし、車椅子の場合には乗り越えることが難しくなります。
防水の為にドアの前に排水溝を設置したり、庇を長く取って段差を5mmくらいとするなどして、玄関ドアの段差を減らす工夫をしましょう。
玄関とホールの段差部分には、いくつか考え方があります。
玄関ドア部分と同様に段差をほとんど無くして、玄関から軽いスロープを作ることで段差をなくしたり、電動昇降機を設置する方法があります。
電動昇降機は車椅子でそのまま室内に上がることを基本とした場合に採用しますが、車椅子のタイヤの汚れが室内に入ってしまう問題もあります。
また玄関の段差は普通に作って、玄関内に車椅子の乗り換えスペースを作る方法があります。
車椅子の保管スペースも必要となりますから、玄関部分に広い面積が必要となります。
玄関の段差部分に、椅子と手摺を設置する方法もあります。
この場合は足が弱い家族が対象となりますが、車椅子の乗換え用に椅子を設置する事もあり、その場合は上記の広いスペースも必要となります。
このように、玄関一つのバリアフリー対策にもたくさんの方法があります。
住む人の好みや体の障害の状態によって、左右の勝手や手摺の設置位置や高さなどが変わってきます。
そこで設置の前に障害のある家族が出来る動作などを詳しく確認の上で打ち合わを行って、最適な解決方法を考えた方が良い結果が得られます。
手摺に位置や椅子の高さなどは、現場で実際に確認しながら調整することも一つの方法です。
玄関収納についても、手が届く範囲を考えて設置することで日常的に手間や負担が軽減されます。
既製品が使いにくく感じる場合は、造作で体にあわせて作ることも大切です。
家具として作ると高価となる場合には、シンプルなデザインに設計して大工工事として作ればローコストになります。
バリアフリーの玄関が通常の玄関より広い面積が必要になるのは、玄関で座るという行為が必要になる為です。
昔の広い土間から高い段差になった玄関は腰掛ける段差としても活用されていたので、ユニバーサルデザインだったともいえるのです。