鉄骨造住宅は、鉄骨の厚みにより重量鉄骨構造と軽量鉄骨構造に分類されます。
軽量鉄骨構造
構造部分に薄い鋼材(2.3mmから4.5mm)を使った構造で、ハウスメーカーの規格化住宅で採用されている構造です。
耐火性に乏しく錆などに対する耐久性の確保も難しいので、ハウスメーカーの規格住宅を除いて住宅で利用されることはほとんどありません。
重量鉄骨構造
軽量鉄骨造の鋼材より厚い鋼材を使用する鉄骨構造で、一般の建築士による鉄骨住宅の場合はこちらの構造が採用されます。
一般的にはラーメン構造と呼ばれる柱と梁を組み合わせた構造体と、梁部分をトラスと呼ばれる構造にしたトラス構造と呼ばれる構造体が採用されます。
他に立体トラス構造やアーチ構造などがありますが、これらの構造は大きな空間向きの構造なので、小さい空間の住宅建築ではほとんど使われません。
こだわりの強い建築家の住宅では壁式構造が採用されることもありますが、工事が困難なのでこちらも一般的ではありません。
ラーメン構造
柱と梁の組み合わせで全体を構成する構造のことです。
屋根を受ける梁が平らな形をフラットラーメンと呼び、屋根を受ける梁が山形になっている場合は山形ラーメンと呼びます。
鋼材には断面の形によって色々な種類がありますが、通常は断面がH型のH型鋼と断面が角型の角型鋼を使用します。
柱には角型鋼やH型鋼を使用し、梁にはH型鋼を使用することが一般的です。
H型鋼については、縦と横の巾の比率により幅広H型鋼や中巾H型鋼などと分けて表現する場合もあります。
他にも鋼管や山形鋼、溝型鋼やI型鋼などがあります。
梁の一部に、軽量鉄骨であるリップ溝形鋼(C型鋼)を使うこともあります。
材料の接合部分は、工場の加工では溶接、工事現場では高力ボルトを使用して接合します。
他に一般ボルトやリベット接合などがありますが、一般ボルトでは接合強度が低くなり、リベットは工事で騒音が発生するなど問題があるので、住宅建築ではほとんど使用されません。
(ただ構造上重要でない部分の接合部分では、一般ボルトも使用されます。)
トラス構造
鋼材を、構造強度上有利な3角形を並べた形となるように作った材料で構成される構造のことです。
住宅の場合は、梁部分に使用されることがほとんどです。
組み合わせた形によって色々な呼び方のトラスがありますが、鉄骨の住宅に使用されるのは下図の3種類でしょう。
ラーメン構造による梁より梁材自体を軽量化できることと、長いスパン(柱間隔)に出来るので柱が少なくて済む点が長所ですが、梁の造りが複雑になるという欠点があります。
鉄骨造の場合、構造部分と仕上部分が分かれた造りになります。
ですから構造部分は室内を造る際に邪魔になりにくい構造にすることと、仕上の下地を適切に支持できる構造とすることが大切なポイントとなるのです。
また重量鉄骨構造と軽量鉄骨構造では、つくり方も大きく異なります。
軽量鉄骨構造はツーバイフォーと似た作りとなるので、ここでは重量鉄骨構造の作り方を中心に紹介します。