鉄筋コンクリート(RC造)住宅の屋根部分の作り方は、陸屋根と勾配屋根では大きく異なります。
断熱については外断熱でも内断熱でも、断熱材がない場合とほとんど変わらない作り方となります。
屋根の作り方は、下図のようになります。
陸屋根と呼ばれるほとんど水平な屋根の場合、コンクリートの上に防水層を作り、端部分の壁が立ち上る部分にも防水層を立ち上げます。
立ち上がり部分とコンクリートの境界部分には押え金物を取り付け、シーリングすることで隙間からの水の侵入を防ぎます。
屋根の上を人が歩く場合や防水層が日光に弱い場合など防水層を保護する必要がある場合には、防水層の上に保護モルタルを打設したりします。
木造住宅でいえば、ベランダ部分の防水と基本的には同じとなります。
防水層には、アスファルト防水やシート防水や塗膜防水やFRP防水などがあります。
アスファルト防水は歴史のある確実な方法ですが、伸縮が大きいという欠点もあります。
シート状のアスファルトを敷き詰め、つなぎ目部分にアスファルトを流して接合します。
アスファルトの場合は保護モルタルが必要で、立ち上がり部分もモルタルで保護する必要があります。
工事中アスファルトを加熱する必要があり臭いや火気使用の問題があるので、最近では使用例が減っています。
加熱せずに工事できるアスファルト防水もありますが、工事中に若干の匂いは発生します。
シート防水は、ゴム系と樹脂系に分けられます。
どちらも細長いシートを敷き詰め、つなぎ目部分を接着や溶着・融着して接合します。
シートの貼付けには、シート自体に接着剤がついている接着工法と金具付ビス留めする機械的固定工法があります。
一般的には保護モルタルが不要ですが、火に弱く滑りやすいという欠点があるので、歩行性を重視する場合は保護モルタルを施工します。
塗膜防水は、液状の樹脂や合成ゴムを塗ることで一体的な防水層を形成します。
防水材自体がコンクリートにしっかり接合する為に、複雑な部分の防水にも適しますし押え金物が不要となります。
シート防水と比べると、防水層の接着強度が高く一体の防水層を形成できるという長所が有りますが、防水層の厚みが薄い部分が出来る可能性があることが欠点です。
一般的には保護モルタルが不要ですが、火に弱く滑りやすいという欠点があるので、歩行性を重視する場合は保護モルタルを施工します。
FRP防水は塗膜防水の一種で、ガラス繊維マットの上にポリエステル樹脂を塗った複層防水層です。
マットが2層、その上下に樹脂を塗り一番上にコート層を塗る形となる複層構造で、耐水性・耐薬品性・耐摩耗性に優れます。
総合的には優れた防水ですが、コストが高く樹脂が紫外線(つまり日光)に弱いので、一番上に塗るコート層を定期的に塗り替える必要があります。
鉄筋コンクリート住宅が勾配屋根の場合は、パーライトモルタルと呼ばれる軽量で釘打ちが出来るモルタルを下地とする場合が多くなります。
パーライトモルタル部分が木造での野地板上面と同じ状態になるので、その上に木造と同じ作り方で屋根仕上が出来ます。
屋根部分の断熱は、以下のようになります。
陸屋根の場合、外断熱ではコンクリートの外側にパネル状の断熱材を配置し、その上に直接防水仕上を行います。
屋根の上を人が歩かない場合や保護モルタルを使用する場合は、あまり工事の変更はありません。
しかし露出型の防水仕上の上を歩行する場合には、断熱材の上に補強金網を入れた下地モルタルを打設した上に、防水仕上を行う必要があります。
内断熱では、コンクリートの真下にパネル状の断熱材を配置します。
天井の直仕上は出来ませんから、天井は下地を作って仕上げることになります。
勾配屋根の場合、外断熱ではコンクリートの外側にパネル状の断熱材を配置し、その上に補強金網を入れたパーライトモルタル下地を作ります。
内断熱では陸屋根の場合とまったく同じです。
屋根の作り方は、陸屋根と勾配屋根ではまったく違ってきます。
陸屋根では勾配屋根より雨水が屋根面にとどまる時間が長いので、防水層の防水性能の高さが重要なポイントとなります。
勾配屋根の場合はいったん下地を作ってしまえば、その上の仕上は木造と同じ作りとなります。
断熱については、外断熱工法の作りでは屋根の防水仕上と密接な関係があります。
歩行できるシート防水や塗膜防水では工程が多くなるので、コストが上昇してしまいます。
内断熱工法では、天井仕上に下地が必要になる以外には特別な工事は必要ありません。
屋根の作り易さや建物のコストで考えると内断熱工法が有利なのですが、外断熱は断熱効果が高いので、室内の環境や光熱費を抑える点では有利となります。
外断熱工法のRC住宅では、作りやすい屋根仕上を選ぶことがポイントとなりそうです。