住まいづくりの用語の中で、内壁関係の用語を解説します。
壁装材(クロス・壁紙)
紙、布、ビニル、無機質を主な構成素材としてシート状に作られたもので、下地基材の表面に貼り付けられるものの総称です。
紙系クロスには、和紙を壁貼り用に用いたものが主に使われ、他に厚紙の上にエンボス加工やプリントした一般紙壁紙や紙系を主とした織物の紙布などがありますが、防火性に乏しいので和紙クロス以外のデザインタイプは最近ではあまり使われません。
布系クロスには、織物壁紙とフェルトのような不織布があり、他のクロスより多少高価ですが、独特の見え方と柔らかい感触を持ちます。
ビニル系クロスには、壁装材の中で もっとも一般的な一般ビニル壁紙と、立体柄を出す為に発泡剤でふくらませた発砲ビニル壁紙や粒状の塩ビ樹脂を塗布して熱加工した塩ビチップ壁紙(じゅらく風壁紙)があります。
無機質系クロスは、ガラス繊維や金属などを主材料に裏打ちし、表面化粧したもので、不燃性があります。
壁装材(クロス・壁紙)の下地としては、たいていの物に貼り付けることができますが、もっとも一般的な下地は石膏ボードやシージング石膏ボード(洗面所や便所など水を使う場所に使用)です。
改修の場合は、板の上や漆喰の上など色々な場所に貼ることになりますが、クロスの剥がれを防ぐ為に下地の表面をしっかり処理することが必要となります。
漆喰塗り
仕上材自体は外壁に使うものとほとんど同じですが、下地が違います。
本格的に仕上げる場合は、竹(小舞竹)を組んだ上に土を下塗りとむら直し、中塗りの上に、漆喰を上塗りして仕上げますが、最近ではほとんど使われません。
一般的には石膏ラスボードの上にプラスターを塗り、漆喰を塗って仕上げます。
簡略的には、石膏ボードの上に直接 漆喰を塗って仕上げます。
特徴も外壁の漆喰同様に、耐久性の高さや防カビ効果などがあります。
じゅらく壁
本来は京都聚楽第跡から取った土であるじゅらく土を塗った壁のことですが、現在は入手できないのでこれに似た土を利用して塗った壁のことです。
手間がかかるので、漆喰同様最近では あまり使われません。
他の左官仕上
じゅらく風仕上材や珪藻土系塗り壁などを石膏ボードに直接塗る工法が、最近の塗り壁では多用されます。
より本格的な仕上の下地には、石膏ラスボードの上にプラスターを塗り下地とします。
調湿作用や有害物質吸着作用を謳った材料も多いですが、実際の効果はデータほど効果がなかったり長続きしない場合もあるので、過信は禁物です。
天然木・天然木化粧合板
天然木は自然の木材を板状にしたもので、幅が狭いものはそのまま、幅が広いものは合板下地の上に張ったり、反り防止の桟で裏補強して使います。
天然木化粧合板は、薄い合板の上に突き板と呼ばれる天然木を薄くスライスしたものを貼り付けた材で、見た目は天然木とほとんど同じですが、年数が経つと天然木の方がより表情豊かになります。
合じゃくりか本実加工して張りつけます。
合板張り
シナ合板やラワン合板を張って壁仕上とします。
目透かし張り(又は敷き目板張り)で張る事がほとんどで、部屋の形に応じてバランスよく割り付けます。
素地そのままか、オイルステンやクリアラッカーを塗って仕上げます。
ボード張り
石膏ボードやシージング石膏ボード、珪酸カルシウム板を張って、EPやVP等を塗って仕上としたり、クロス貼りの下地とします。
石膏ボードは湿気に弱く変形しやすいので、湿気が多いところでは湿気に強いシージング石膏ボードや珪酸カルシウム板を使います。
EPは合成樹脂エマルジョンペイントを示す記号で、溶剤が水で無害で臭気が少ない特徴がありますが、耐久性は劣るので室内用です。
VPは塩化ビニールペイントを示す記号で、乾燥中は臭気があり換気が必要ですが、耐水性に優れるという特徴があります。
化粧石膏ボード
石膏ボードの表面に化粧加工した紙を貼り付けたもので、いくつかデザインがあります。
目地が目立つので、最近の住宅ではあまり使いません。
合成樹脂化粧合板
普通合板の表面に合成樹脂で化粧した合板で、樹脂の種類によりメラミン化粧合板と、ポリエステル化粧合板があります。
メラミン化粧合板の方が硬度が高く耐水性に優れますが反りやすく、ポリエステル化粧合板(ポリ合板)がより一般的な材料です。
壁仕上自体に使われることは稀で、簡易間仕切り壁や家具や建具仕上に使われます。
プリント合板
普通合板の表面に木目や色々な柄を印刷して塗装仕上したもので、角をテーパー加工した板は突合せで貼ります。
質感が劣り目地の部分が目立つので、最近ではあまり使われなくなりました。
機能性壁材
多孔質の構造を持つボードや光触媒を利用した仕上材で、多孔質の特性である調湿効果や化学物質吸着効果を利用した壁材や、光触媒で有害物質を分解する効果を加えた壁材のことです。
各材料により機能性が かなり異なるので、期待する効果が高い建材を選んで使用します。
調湿効果、吸着効果共に限界があり、温度や湿度によっては放出する場合もあることは頭に入れておくべきでしょう。
分解効果があるものは持続性がありますが、あくまで補助的な機能ですから過信は禁物です。
下地ボートには木毛セメント板から石膏ボード、珪酸カルシウム板などさまざまな種類がありますから、使用する場所に適したボードを選ぶ必要があります。