木造の内壁工事の概要と注意点について紹介します。
各内壁仕上は他のページで紹介しているので、ここでは下地に関することを中心に考えましょう。
土壁下地
漆喰仕上の下地で、最近ほとんど見かけなくなった工法です。
小舞下地(竹を縦横に組んで縄で編んだ状態)の上に、寝かせた土(少し醗酵させたような状態の土)とワラを混ぜた物を塗っていき、漆喰仕上の下地とします。
現在では茶室や伝統的建物等で使う場合が多く、ほとんどが真壁として作ることになります。
大壁として外壁に使う場合より土部分が薄くなりますが、内壁には断熱や防火性能はほとんど必要とされないので問題はありません。
モルタル下地
タイルの下地として使うことがほとんどです。
防水性能が重視される場合は、木ずり(木板)に防水紙(アスファルトや防水通気シート)をしっかりと貼った上にワイヤラスやメタルラスを貼り、その上からモルタルを塗るという外壁と同じ工程となります。
浴室の場合、腰下は基礎コンクリートを立ち上げた上にモルタル下地とし、腰上はラスボードを下地として使うこともあります。
浴室の壁で防水上重要なのは足元の50cmほど(浴槽上端+10cm位)なので、腰上の防水はそれほど必要ではないのです。
防水の為に、2階に浴室を作る場合はハーフユニットと呼ばれる浴槽と床が一体になった物を使用したり、ユニットバスを使うことがほとんどです。
2階の浴室を一般の工法で行う場合は、下地の防水を下部に部屋がある場合のベランダ防水並に気を使った施工をする必要があります。
ちょっと話がずれてしまいましたが、モルタル下地は手間がかかるので、土壁ほどではないですが少なくなってきた工法となっています。
ボード下地
各仕上の下地に石膏ボードや珪酸カルシウム板などを使う場合、目地部分が重要となります。
胴縁の上にボードを張りますが、継ぎ目の部分の胴縁には幅の広い物を使います。
内胴縁として柱も胴縁として使う場合は、柱のひび割れを考慮して継ぎ手を配置する必要があります。
ボードの継ぎ目部分を下地材料に適した方法で目地処理を行い、継ぎ目にひびが入らないようにすることが重要となります。
特に塗装仕上の下地の場合は目地部分にヒビが生じやすい為に、目透かし(板同士を隙間を開けて貼る)や目板(目地上から板などを貼る)を併用した方が安心できます。
クロス下地の場合はボード継ぎ目の小さいヒビは問題ないのですが、下地面を平らにすることが重要となります。
左官下地の場合は、仕上材の種類に応じた下地作りをする必要があります。
板貼下地
薄い幅広の銘木を使う場合は反りやすいので、下地に合板を使うことがほとんどです。
ボード下地で、ボードの代わりに合板を使うというイメージです。
狭いフローリングのような板を使う場合は、板を貼る方向に応じた胴縁下地を作ります。
石膏ボード等を下地に使う場合もありますが、結露しやすい場所では下地のボードが常に湿潤状態になる可能性もあるので、ボード下地は使わないようにしましょう。
以上が内壁下地の概要ですが、仕上には色々な種類があるので、実際の下地は仕上に応じて変わります。
重要なことは、水廻りでは防水と湿気に対応できる下地とすること、一般部分の下地は仕上材に適したものにする必要があるということです。
設計者にとって新しい仕上を使う場合、下地が適切でない事によるトラブルが生じやすいものです。
ですから依頼している設計者が良く使っている仕上材から選ぶか、新しい仕上材料を使用する場合には下地に対する考え方を事前にしっかり聞いておくことが大切でしょう。
設計者がきちんと説明できないような仕上材は、現場をきちんと監理出来ませんから使わない方が安全なのです。