木造の屋根工事の概要と注意点について紹介します。
垂木と野地板
屋根の仕上材と軒の出の長さによって、垂木の間隔や大きさを決めます。
野地板(垂木の上に載せる板)は、施工の手間が少なくなる合板を使うことが多いですが、無垢の板を使う方が長持ちします。
合板は湿気を通しにくいので、野地板部分が結露などで濡れてしまうと乾燥しにくく腐りやすいためです。
パーティクルボードも合板同様に乾燥しにくい材料です。
ただ垂木と野地板で強度を出す工法(ツーバイフォーの考えで屋根を作る場合など)もあるので、ケースバイケースで使い分けます。
設計の打合せのときに、設計者に考え方を聞いておいたほうが良いかもしれません。
下葺き
屋根の下葺き材は、現在はほとんどがアスファルトルーフィング940です。
重ね部分をしっかり取る事と、壁の立ち上がり部分や棟・隅部分をしっかり施工することが重要です。
現場での確認はちょっと大変ですが、雨漏りしない為には重要な部分です。
設計者にしっかり確認してもらいましょう。
屋根材葺き
屋根材にはいろいろな種類がありますが、現在良く使われるのは瓦と金属板です。
ほかにコロニアル、スレート、アスファルトシングルなど色々ありますが、現在の住まいで使われることは少なくなっています。
金属板葺き
一口に金属板葺きと言っても、材質、形状共に色々種類があります。
材質はガルバリウム鋼板が最も一般的で、カラー鉄板より耐久性があって比較的安価です。
他にはアルミ、ステンレス、チタン、塩ビ鋼板、銅板などがあります。
形状は横葺き(段葺き)と立ちハゼ葺き(立ち平葺き、スタンディングシーム)が主流です。
他には瓦棒葺き、一文字葺き、平葺き(面積の小さい庇等に使用)などがあります。
横葺きで注意する点は屋根勾配が2.5/10以上あることと、隅部にきちんと役物(隅専用の材料)を使うことです。
また、軒先やケラバ(切妻屋根の斜めに登っている側面部分)に水切金物をしっかり設置する必要があります。
立ちハゼ葺きで注意する点は屋根勾配が1.5/10以上あること、軒先やケラバ(切妻屋根の斜めに登っている側面部分)に水切金物をしっかり設置することです。
瓦葺き
材料では、粘土瓦とセメント瓦に大別できます。
粘土瓦には、いぶし瓦・陶器瓦・窯変瓦などがあります。
セメント瓦は年月が経つと表面の塗装が剥げて、下地のモルタルが見えてきます。
耐久性を重視する場合は粘土瓦を使いましょう。
セメント瓦の場合は10年ごとを目安に材料をチェックして、場合によっては塗装し直す必要があります。
初期のコストはセメント瓦が安いのですが、耐久性やメンテナンスを含めて考えると粘土瓦が安くなります。
形は和瓦(日本瓦)、平瓦、S瓦などありますが、現在では、はっきり区別がしにくい形状をした瓦も増えています。
結果的に、形状は住宅のデザインと性能から決める事になります。
屋根勾配は基本は4/10以上あることですが、最近では3/10位でも大丈夫という瓦も出ています。
谷部分には金属板を捨て貼りします。
瓦の釘打ちは棟と周辺瓦は1枚ごとに釘打ち、内部は数枚ごとに釘打ちします。
最近では、より地震や台風に強いガイドライン工法(いろんな屋根の勾配や形状で強度を確保できる施工方法)というものも出来ています。
周囲より風当たりが強い敷地に建てる場合は、しっかり取り付けられる工法を採用を検討しましょう。
以上の屋根廻については、現場での確認は危険が伴う場合もあるので設計者に任せたほうが無難です。
事前にどんな作り方をするのか確認することで、設計者に注意を促し、現場を確認してもらうことが重要となります。