木造の床工事の概要と注意点について紹介します。
束、大引、根太
最近の住宅の束としては高さ調整が簡単で腐らないため、鋼製束やプラスチック束が多用されます。
劣化の危険があるプラスチック束よりも、亜鉛メッキした鋼製束がお勧めです。
木を使う場合はコンクリートの湿気を吸わないように、下端を防水処理して使います。
床下や地面から1.0Mまでの木部分には防腐・防蟻処理材を塗るのが一般的ですが、あまり体に良い薬剤ではないので床下の換気をしっかり取る必要があります。
床下を気密にする場合(外断熱する等)には、薬剤を使うと床下から室内に薬剤が漏れてくる可能性が高くなるため、木材自体に腐りにくい桧や杉の心材やヒバ材などの材料を使い薬剤を塗らないようにしましょう。
たたみ下地
根太の上の板としては、通常荒床と呼ばれる無垢の板を敷きこみます。
最近では合板の方が手間が少ないので多用されますが、タタミの湿気を逃がしにくく、タタミが傷みやすくなるので無垢の板がお勧めです。
元々タタミには断熱性能があるので、湿気を通しにくい床下の断熱材も使いたくないところです。
寒さが気になる時は下地の板材を厚くし、雇い実等通気を少なくする工法で対応しましょう。
夏の湿気が少なく寒い地域ではタタミの傷みは少ないので、合板下地や断熱性能を重視した下地が良いでしょう。
板貼り下地
最近では1階でも根太の上に合板を貼り、その上に仕上材を貼ります。
根太や大引など下地の木部が反ったりした時に、床が鳴ることを防ぐためです。
接着剤を併用する場合がほとんどですから、接着剤にもシックハウス対策品を使います。
根太を使わずに大引の上に直接、厚い床板を貼って済ませる場合もあります。
床を歩いた感触に独特の柔らかさがでるので、裸足で生活する住まいでは特にお勧めです。
タイル下地
基本的には土間コンクリートを床に近い高さまで打設して、上面をモルタルで平らに均した上でタイルを貼ります。
昔のトイレなどでは根太の上に貼った合板の上にタイルを貼っていましたが、タイルが割れたり下地の合板が腐れ易かったりするので、現在ではほとんど使いません。
シート下地
根太の上に合板を貼ってシートを貼ります。
日常のメンテナンスは容易ですが、下地の合板が傷みやすいので注意が必要です。
以上は床下地のつくりで、まだ他にも種類はありますが、基本的な注意点は湿気をこもらせないことと防腐・防蟻の考え方です。
薬剤はシックハウスの原因にもなりうるので、使用する場合には床下換気が必要です。
湿気をこもらせないことと断熱性能を上げることは相反する部分が多いので、設計のときにどちらを重視するのか、考え方をきちんと確認しておきましょう。
床鳴りの原因となる工事内容については現場での確認は難しい場合もあるので、完成した時の引渡し前に、床鳴りに注意して隅々まで実際に歩いて確認しましょう。