木造の給排水衛生工事の概要と注意点について紹介します。
屋外配管工事
給水管・排水管ともに、凍結深度以下まで埋める必要があります。
給水では、管径を必要水量にあわせた配管とすることが大切です。
給水管の13mmと20mmとでは、数箇所同時に水栓を使った場合の水の勢いに大きな差が出ます。
特に給湯器はある程度の水圧がないと発火しない仕組みなので、他の水栓も同時に使っている時に水の勢いが足りずにお湯が出ないという事もあるのです。
排水では、勾配に要注意です。
勾配が少ないと水の流れが悪くなり、配管が詰まりやすくなります。
逆流するのはもってのほかですが、給排水は水道局などが完了検査を行っている(と思います、私がこれまで関わった地域では必要でした。しかし検査組織が市町村単位なので、地域により差があるかもしれません。)ので、埋める深さや逆流や水圧のチェックについては問題ないでしょう。
設計者に、施工の状況をしっかりチェックしてもらうことも必要でしょう。
雑な埋め戻し工事などは、後々問題となる場合も多いのです。
屋内配管工事
最近は給水(給湯)ヘッダーと、それに対応したパイプを使用することが多くなっています。
昔の鋼管のような接続部分が少なく、配管の自由度が高いので最近急速に普及しました。
排水では、排水トラップと勾配に注意が必要です。
排水トラップは一つの機器に対して2箇所つける(ダブルトラップ、外部の配管部分も含みます)と、トラブルが発生しますので注意が必要なのです。
内部だけで2つ付けることは少ないと思いますが、外部との関係で2箇所になることもあります。
勾配については、外部同様のチェックポイントとなります。
給水については、前述の検査とヘッダー使用の場合にはトラブルが発生することは極めて少なくなります。
しかし排水の場合は検査が及ばないケースも多くなるので、注意が必要です。
これも現場では分かりにくいので、設計者にしっかり確認してもらいましょう。
ダブルトラップのチェックは、排水経路とトラップの位置を現場で確認して全て書き出してみると、分かりやすくなります。
給水や排水経路は基礎を貫通することになるので、基礎コンクリートを打つ前に配管を行なう必要があります。
工程調整が上手くいかずに後で基礎に配管用の穴を開けることも有りますが、基礎を傷める場合もあるので出来るだけ避けるべきです。
衛生機器工事
洗面廻りは、隙間のコーキングに注意しましょう。
コーキングの隙間からの水漏れで、周囲が傷むことも少なくありません。
機器と給排水の接続は重要ですが、ここは設備業者の技術に因る部分が多く現場でのチェックは設計者でも困難です。
そこで後々のトラブルが多発する業者は、工事金額が安くても使わないことが大切です。
その他にも設備機器により適切な工事をすることが大切ですが、これは設備機器によって千差万別です。
施工説明書を現場に置いて工事しているかを確認する方法も有りますが、慣れている機器だと必ず必要という訳でもないので難しいところです。
コーキング以外は現場での確認は難しいので、設計者が信頼して任せられる業者に依頼することが一番の方法かもしれません。
換気扇工事
換気扇で注意することは、防虫網とシャッターの有無です。
設計図で明記していれば良いのですが、明記していない場合も多いので現場で確認します。
防虫網は排気部分についているので分かりやすいのですが、シャッターは換気扇自体についている場合が多いので、場所によっては確認しにくくなります。
このあたりは、シックハウス用の換気扇は完了検査でカタログのコピーなどを用意する(場合が多い)ので、他の換気扇もそろえてもらって確認することも一つの手段です。
またシャッターは建設場所によっては防火性能が要求される場合もあるので、設計者に確認してもらうのが一番かもしれません。
以上が設備工事のチェックポイントですが、設備機器に応じた適切なチェックは難しいものです。
そこでチェックできる部分だけでも、しっかりチェックすることが大切です。
基本的な工事がしっかりしている業者は、他の部分の工事でもしっかりしていると思われるからです。
基本的な部分で疑問があるようでしたら、使用している機器の施工図などを集めてもらって、詳しく確認することも必要となります。