ここでは、外壁と構造部分の作り方を見ていきましょう。
前ページで紹介した金物部分の結露に対して木部分を乾燥状態に保つ為には、外壁通気工法と呼ばれる工法を採用することが有効です。
この外壁の作り方におけるポイントは、透湿防水シートと通気胴縁(胴縁はボードを張る下地材の名称)です。
透湿防水シートはその名の通り湿気のみを通して雨水を通さないという特性があるので、木部分の乾燥を保つ為には非常に効果的な材料です。
通気胴縁は、壁下地である胴縁に欠き込みを入れることで縦方向の空気の動きを遮らない効果があります。
外壁が太陽に熱せられると上昇気流が生まれるので、その空気の動きを遮らずに活用することで、木部の乾燥を促します。
この通気工法は、特に高温多湿の地域において木構造部分を健全な状態に保つために効果が高い工法なのです。
現在では住宅瑕疵担保保険に加入する為には、外壁サイディングの下地は通気工法とすることが基本となっています。
最近では、外断熱工法も流行です。
上記の通気工法も外壁部分が断熱仕様であれば外断熱ともいえないことはないのですが、通気部分があるので断熱性能を確保することは難しくなります。
そこで外断熱を謳っている場合、柱の外側に耐力壁を兼ねた構造用合板を貼り、隙間を少なくすることで断熱性能を上げようとしていることが多いようです。
ここで問題になるのは、木部分の湿気が合板で遮られてしまうことです。
使用される合板は一般的に5枚の薄板を張り合わせて作られるので、接着層が4層も出来てしまうのです。
これでは湿気の放出は、ほとんど期待できません。
より通気性のあるボードを使用しても、その上に透湿防水シートを貼る必要があるので、湿気の放出はかなり少なくなってしまいます。
こうなると木部分の湿気は外には放出されませんから、室内に放出する必要が出てきます。
室内にプラスターボード(PB、石膏ボード)を使用すると、プラスターボードの湿気を吸いやすく放出しにくい特性の為に、木部分の湿気の逃げ場がなくなってしまいます。
ということは、内壁に木材など湿気を逃がしやすい材料を使用する必要があるという事です。
そうしないと、せっかく断熱性能を高くして冷暖房費を抑えても、木構造部分の劣化で早期のリフォームが必要になる可能性もあります。
またこの工法は、本当の外断熱工法とはいえないもので、ハウスメーカー独自の表現なのです。
比較的乾燥している地域では、外断熱工法は問題になることは少ないと考えられますが、高温多湿地域では外断熱工法を採用する場合には細心の注意が必要となります。
本格的な外断熱工法は、柱の外から屋根までを途切れない断熱材で覆う工法です。
柱の外や垂木の上などに断熱材を入れることになるので、外壁や屋根の仕上げ材を支持する材料が必要となり、住まいを作るコストもかなり高くなります。
高い断熱性能が要求される寒冷地では、断熱性能を高める為に効果的なつくり方となります。
以下は一般的な外壁仕上の例です。
モルタル部分の図は少し見にくいですが、モルタル下地のバス板は7mm程度の厚さの板材を並べて貼ったもので、モルタルのラスは、モルタルの付着をよくするための金網のことです。
(一般的なモルタル下地壁は、外側から 外壁仕上材 ラスモルタル 防水シート バス板 柱 と並びます)
このつくりはどちらも壁内の湿気を逃がす部分が無いため、木構造部分の劣化が早くなる欠点があります。
ですから、内壁部分で湿気を逃がす工夫が必要となります。