工事見積書の中の 屋根・板金工事 を見ていきましょう。
屋根が金属板の場合は屋根工事と板金工事を同じ項目にする場合も多くなりますが、屋根が他の材質の場合は屋根工事と板金工事に分けてある場合もあります。
屋根が瓦の場合でも、谷部分の板金や軒樋などは金属工事に入りますから、屋根と同じ場所で見積る場合も多いのです。
屋根は、材料や形状によって金額が変わります。
基本的にはシンプルな形の方がコストは安くなりますが、片流れ等で壁面積が大きくなると壁部分のコストが高くなります。
屋根形状を変えることでコストを下げる場合には、壁部分のコストも同時に考慮する必要があります。
瓦の場合は、屋根の場所によって瓦の値段が変わる(棟瓦や袖瓦や平瓦など形の違い)ので、形状に対してのコストの差が大きくなりますし、鬼瓦など役物の瓦は高価になります。
金属板でも断熱材が付いた製品や形状が特殊な製品は、出隅部分の材料が規格品で高価な場合もありますからこれもコスト高になります。
材料の変更によってコストを下げる場合は、耐久性にも注意しましょう。
屋根材は防水上重要な材料で、耐久性が低い材料の場合は、年月が経つにつれて雨漏りがし易くなったり台風で飛ばされやすくなるので、比較的短期間でメンテナンスが必要となる場合も少なくありません。
屋根の面積は、屋根の水平投影面積に屋根勾配を考慮した係数を掛け算すれば、重なる部分を除いた大まかな数値は計算できますから、見積もり面積に大きなミスがないことを確認できます。
屋根勾配 | 1.0寸 | 1.5寸 | 2.0寸 | 2.5寸 | 3.0寸 | 3.5寸 | 4.0寸 | 4.5寸 | 5.0寸 | 6.0寸 |
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寄棟係数 | 1.050 | 1.057 | 1.066 | 1.077 | 1.091 | 1.107 | 1.126 | 1.146 | 1.168 | 1.219 |
切妻係数 | 1.005 | 1.010 | 1.020 | 1.031 | 1.044 | 1.059 | 1.077 | 1.097 | 1.118 | 1.166 |
ベランダ等で防水工事がある場合には、この屋根の項目内で計上するか、別に防水工事として計上します。
ベランダで下部に部屋がある場合には、ベランダ部分の防水性能は、陸屋根同等の防水性能や結露防止を考慮する必要があります。
特に木造住宅の場合には、建物の変形に対する追随性能も重要視されます。
板金工事は屋根の場合は屋根材料や形によって使用する部分が異なりチェックはかなり難しくなりますが、軒樋は分かりやすく軒先の長さから数量がチェックできます。
外壁では、足元のコンクリート部分と外壁部分の境目に水切りの板金が必要です。
その他にも防水上重要な場所に板金工事を行う場合もあるので、何処に使われているのかは設計者や工事業者に確認しましょう。
外壁に板金を使用する場合は、板金工事に含む場合と外壁の別項目とする場合もあります。
この場合は、足廻りの水切りも外壁工事に含むことが多いようです。
屋根の場合は、面積をチェックすることは比較的簡単です。
単価は材料によって千差万別ですから、デザインとコストの兼ね合いで最適な材料や形状を選ぶ必要があります。
板金については使用している場所が分かりにくいので、コストを調整したい場合には設計者と施工業者に確認しましょう。
設計者だけでは、板金を使用する場所と見積もり内容を比較チェックすることは難しい場合もあります。
ただ板金の場合は、逆に必要な部分に不足していることをチェックすることも大切なので、屋根や外壁部分以外でコストを下げるということは難しくなります。
板金は防水上重要な部分に設置することが多い工事となります。
そこで外壁や屋根や樋以外の部分でコストを下げることは、建物の耐久性や防水性能に問題を生じる可能性もあるので避けましょう。