住宅性能表示制度の 温熱環境に関すること については1つの項目があります。
その項目についての内容を見ていきましょう。
(ここでは平屋か2階建ての在来工法木造住宅を想定して解説しています。)
5-1 省エネルギー対策等級
暖冷房に使用するエネルギーの削減のための断熱化等による対策の程度 に対する評価です。
地域区分(Ⅰ(北海道)・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ(沖縄)) 日本国内の地域によって要求される断熱性能が区分されています。 東京から福岡までの比較的温暖な地域はⅣに区分されます。 |
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4等級 | エネルギーの大きな削減のための対策(エネルギーの使用の合理化に関する法律の規定による 建築主の判断の基準に相当する程度)が講じられている。 |
3等級 | エネルギーの一定程度の削減のための対策が講じられている。 |
2等級 | エネルギーの小さな削減のための対策が講じられている。 |
1等級 | その他。 |
等級1は、特に対策を行なっていない住宅です。
その他の等級では、住宅の躯体部分の断熱性能と開口部分の断熱性能についての検討が必要になります。
等級2に適応する場合、屋根裏や外壁や外気に通じる床に断熱材を入れることが必要です。
各部分の断熱材の厚みは、地域区分と断熱材の種類によって異なります。
開口部分については、地域区分によってはペアガラスの断熱サッシとする必要がありますが、比較的温暖な地域では1枚ガラスでも適応します。
各地域で建てられる標準的な住宅の断熱仕様と同じ程度のレベルなので、比較的対応しやすい等級と言えます。
等級3に適応する場合、屋根裏や外壁や外気に通じる床と外気に接する土間床の外周部などに断熱材を入れることが必要です。
つまり、基礎コンクリート部分にも断熱材が必要となります。
断熱材の隙間を無くす為に断熱材の密着に注意し、通気止めなどを使用しなければなりません。
さらに、結露の発生を防止する対策や、地域によっては気密層を設置する必要があります。
開口部分についてはペアガラスが基本になります(これも地域区分で異なります)。
Ⅰ地域では開口部分の気密性能も必要とされます。
さらに開口部分の方位によっては、日射の侵入を防ぐ庇やカーテンなどの設置が義務付けられます。
等級4に適応する場合、屋根裏や外壁や外気に通じる床と外気に接する土間床の外周部などに断熱材を入れることが必要です。
温暖な地域でも断熱材の厚みが必要になるので、外壁では外張り断熱が必要となる場合もあるでしょう。
断熱材の隙間を無くす為に、通気止めや断熱材対応の埋め込み照明器具を使用しなければなりません。
さらに、結露の発生を防止する対策や、気密層を設置する必要があります。
開口部分については断熱性能が高い枠のペアガラスが基本で、地域によっては断熱性能が高い窓を二重にすることになり、開口部分の気密性能も要求されます。
さらに開口部分の方位によっては、日射の侵入を防ぐ庇やカーテンなどの設置が義務付けられます。
温熱環境に関することについては、地域区分によって要求される断熱性能や気密性能などが大きく異なります。
また断熱材料の使い方や、開口部の性能などにも様々な組み合わせがあります。
さらにここで評価する結露対策は、それほど厳密ではありません。
日射対策も定量的な対応です。
単純な断熱性能だけではなく、通風や樹木の利用や日射のコントロールを含めた、バランスの良い省エネルギー対策を考えることも大切なのです。