住宅性能表示制度の 空気環境に関すること については3つの項目があります。
その項目についての内容を見ていきましょう。
(ここでは平屋か2階建ての在来工法木造住宅を想定して解説しています。)
6-1 ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等)
ホルムアルデヒド発散等級
居室の内装の仕上げ及び換気等の措置のない天井裏等の下地材等からのホルムアルデヒドの発散量を少なくする対策 に対する評価です。
居室の内装の仕上げ及び換気等の措置のない天井裏等の下地材等に使用される特定建材からのホルムアルデヒドの発散量の少なさ に対する評価です。
・製材等(丸太及び単層フローリングを含む)を使用する。 ・特定建材を使用する。 ・その他の建材を使用する。 (結果が 特定建材を使用する の場合のみ、以下の ホルムアルデヒド発散等級 の結果を表示する) |
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内装と天井裏等を別々に評価します。 ・内装該当なし ・天井裏等該当なし |
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内装 3等級 | 天井裏等 3等級 | ホルムアルデヒドの発散量が極めて少ない (日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆☆(フォースター)等級相当以上)。 |
内装 2等級 | 天井裏等 2等級 | ホルムアルデヒドの発散量が少ない (日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆(スリースター)等級相当以上)。 |
内装 1等級 | 天井裏等 なし | その他。 |
天井や壁や床、全ての仕上部分に自然素材や安定した材料を使用した、ホルムアルデヒドがほとんど検出されない仕上材料や下地材料のみを使用した住宅では、元々優れているので等級は判定外です。
等級1は、ホルムアルデヒドに対する対策をほとんど行なっていないレベルの建材なので、確認申請を行う住宅の場合には ほとんど該当しません。
等級2は、天井裏等では小屋裏や床下のなどの換気を行わない場合や通気止めを設置しない場合の建築基準法での標準仕様です。
内装仕上材では、建築基準法による制限が厳しく、この等級の場合は必要な換気量が大きくなったり、仕様面積の制限などがあるために あまり使用されません。
等級3は、現在の住宅の内装仕上材に使用される材料の標準的な等級と言えます。
現在使用されているほとんどの建材がこの規格を満たしています。
天井裏などについては、床下の防腐防蟻処理剤などの適応が少し難しくなります。
気密層や通気止めでの対応が現実的とも言えるでしょう。
6-2 換気対策
室内空気中の汚染物質及び湿気を屋外に除去するための必要な換気対策 に対する評価です。
居室の換気対策 住宅の居室に必要な換気量が確保できる対策 ・機械換気設備 ・その他 |
局所換気対策 換気上重用な便所、浴室及び台所の換気のための対策 便所: ・該当なし ・機械換気設備 ・換気できる窓 ・その他 浴室: ・該当なし ・機械換気設備 ・換気できる窓 ・その他 台所: ・該当なし ・機械換気設備 ・換気できる窓 ・その他 |
ホルムアルデヒド対策における換気は、建築基準法では隙間などによる自然換気は、純和風の作りの住宅などでは一定の条件の下に認められています。
しかし、住宅性能表示制度では機械換気が前提となります。
機械式換気には、
給気と排気の両方を、機械で行う第一種機械換気設備
排気を自然排気とし、給気のみを機械で行う第二種機械換気設備
給気を自然排気とし、排気のみを機械で行う第二種機械換気設備
の3種類がありますが、住宅では通常 第一種と第三種機械換気設備を利用します。
換気量は基準法同様、フォースターの仕上材を使用した場合の必要換気回数は0.5回/時間です。
冬などの寒冷期(気温が低くなるとホルムアルデヒドの発散がかなり少なくなります)を除いて1日24時間(常に)換気する必要があります。
確認申請におけるホルムアルデヒド対策で換気扇を使用していれば、適合します。
局所換気に対しても、便所・浴室・台所には、窓又は換気扇の設置が常識と言えますから問題ないでしょう。
逆に局所換気で引っかかるような住宅は問題だといえます。
6-3 室内空気中の化学物質の濃度等
注)選択事項(住宅性能表示制度における必須事項ではありません)
評価対象住戸の空気中の化学物質の濃度及び測定方法 に対する評価です。
工事完了後の住宅居室において、実際に測定します。
測定物質の名称ごとに濃度等を記入します。(ホルムアルデヒドについては必須です) 測定器具や採取日や採取条件などを記入する必要があります。 |
住宅の化学物質の実際の濃度を確認することで、計画通りの性能である事を確認をする項目です。
実際の濃度測定には、結構なコストがかかります。
選択事項なので、どうしても気になる場合に行うことになります。
性能表示における空気の環境については、建築基準法の要求するレベルで十分だといえます。
しかし、ホルムアルデヒドを中心に考えているので、他の化学物質に対する危険性は低くはないということも言えます。
その規制が緩い化学物質を室外に排除するためにも、機械式換気による24時間換気は必要といえるでしょう。