住宅性能表示制度の 音環境に関すること については1つの項目があります。
共同住宅では、床や壁の遮音性能を評価する8−1から8−3までありますが、これは隣戸からの音漏れが問題になることが多いためです。
戸建住宅では、外部からの音を遮ることが基本なので、評価する事項が少なくなります。
また、音に関しては選択項目なので、評価するか否かを選択できます。
その項目についての内容を見ていきましょう。
(ここでは平屋か2階建ての在来工法木造住宅を想定して解説しています。)
8-4 透過損失等級
居室の外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度 に対する評価です。
・北面:該当なし ・東面:該当なし ・南面:該当なし ・西面:該当なし | |
3等級 (4方位別々に評価) | 特に優れた空気伝搬音の遮断性能(日本工業規格のRm(1/3)−25相当以上) が確保されている程度。 |
2等級 (4方位別々に評価) | 優れた空気伝搬音の遮断性能(日本工業規格のRm(1/3)−20相当以上) が確保されている程度。 |
1等級 (4方位別々に評価) | その他。 |
遮音上の弱点である開口部分を中心に評価を行ないます。
方位に関しては光の開口部分と同様、方位を中心に90度毎に区別します。
窓だけでなく、ドアなどの外壁面の開口部分 全てを評価する必要があります。
1等級は特に対策を行なっていない住宅です。(この項目があるなら選択項目にする必要はないのですが、良く分かりません。)
庭に面する壁など、騒音が少ない方向の外壁面では必要がない場合もあります。(ただし、音の回り込みや隣の建物からの反射などに注意する必要があります)
2等級は、サッシなどの全ての居室に面する外壁の開口部分に、遮音等級がT−1以上の性能を持つ建具を使用する必要があります。
T−1のサッシは、気密サッシにペアガラス又は厚みのあるガラスを使用して認定を取得したものなどがあります。
3等級は、サッシなどの全ての居室に面する外壁の開口部分に、遮音等級がT−2以上の性能を持つ建具を使用する必要があります。
T−2のサッシは、気密サッシにペアガラスで厚みのあるガラスを使用している製品か、気密サッシを二重サッシとした製品で、認定を取得したものなどがあります。
外部からの音を遮る際には、騒音が入ってくる方向を中心に対策する必要があります。
騒音に対する外壁面を高い遮音等級として、その他の壁面をワンランク低い等級とするとコストパフォーマンスが高い対策となります。
遮音に関しては、住宅性能表示制度の等級では非常に大きな音は、遮ることが出来ません。
住宅性能表示制度の等級は、一般的な敷地で ちょっと外の音が気になる場合の対策と考えるべきです。
換気扇やクーラーダクト廻りなどの隙間部分や、壁と床や壁と天井など接続部分の隙間に対する対策は評価していないので、軽い防音のレベルなのです。
交通量が非常に多い道路沿いや高速道路や線路沿いなどでは、より高いレベルの遮音対策が必要になります。
また、音楽室やシアタールームなど、室内の音を外部に漏らしたくない場合も、より高いレベルの遮音と調音対策が必要になります。