住宅設計において、断面図・矩計図・断面詳細図は高さを決定する大切な図面です。
床や天井の高さや屋根の高さ、段差部分の高さの違いなどが分かります。
そこで、断面図・矩計図・断面詳細図を見る際に確認しておきたいことや注意すべき点を紹介しましょう。
断面図を見る前に、平面図でどこの部分を切った断面なのかを確認しましょう。
断面時に記載されている部屋名を平面図と照らし合わせると、大体の位置が分かります。
断面図は高さを確認することが大切なので、床や2階までの高さや屋根までの高さなど、各部分がどの位の高さになっているのかをチェックします。
木造の場合、床の高さは500から700mm程度、階の高さ(1階床から2階床まで、又は、2階床から3階床までの高さの差)は2,900から3,200mm程度が一般的ですが、地域や作り方によっては差が出てきます。
特に低湿な地域や雪がたくさん積もる地域では床を高くする傾向がありますから、建てる地域の特性も考えながらチェックします。
最近のハウスメーカーで採用されることが多い中間層に収納がある場合にも、この階高は大きく変わります。
数値に平均値と大きな違いがあったら、設計者に内容や理由を確認しましょう。
部屋の天井高さは2,400mmが標準ですが、広い部屋では高めにします。
スキップフロアの場合は、天井が低すぎる部分が無い事も確認しましょう。
居室の平均天井高は法的には2,100mm以上あれば良いのですが、2,100mmではかなり低さを感じることもあります。
また天井が傾いたりしている場合は、低い部分の高さの確認も大切です。
2,000以下の部分が広いとかなり圧迫感を感じたり、天井に設置するタイプの照明機器が近過ぎることになってしまいます。
空間演出の為に天井を低くする場合には、照明を間接照明にするなどの配慮も必要となるのです。
窓の高さは、掃き出し窓(出入りができる床まである窓)の場合アルミサッシ既製品の基準寸法により上端が床から2,000mmが基本になっています。
2階以上では下端が900mm以上が基本で、下端が低く転落の恐れがある場合は手摺や格子をつけます。
より安全に気を配る必要がある場合は、下端を1,100mm以上としましょう。
ベランダや吹抜の手摺は、床から1,100mm以上必要です。
ベランダは作り方によっては天井高さがかなり低くなる場合もあるので、念のため高さも確認しておきましょう。
階段の断面がある場合は、頭がぶつからない天井高さを確認することも大切です。
降りるときには軽くかがむ格好になるので、ちょっと天井が低いだけでも頭をぶつけることがあります。
特に設計者の中には階段部分に天井が2段分重なっても大丈夫(昔の狭い住宅の狭い階段のイメージが残っている設計者に多いようです)という人もいるので、しっかり確認しておきましょう。
また他の図面に仕上表が無い場合は、矩計図に記入されている仕上材料が重要なチェックポイントになります。
仕上表のページで記載している内容を参考に、矩計図でチェックしましょう。
断面図は、高さの確認が最も重要です。
普通の形の住宅は比較的分かり易いのですが、スキップフロアなど複雑な作りの場合は分かりにくいことも多いのでしっかり確認しましょう。
断面図の高さが標準寸法から大きく外れる場合は、設計者の考えをしっかり聞いて事前にしっかり確認することが大切なのです。