オール電化住宅は、便利でクリーンな住まいとして脚光を浴びています。
暖房やコンロや給湯器の熱源を全て電気にすることで、ガスや灯油の燃焼がないためにクリーンな生活となるという点が一番の特徴です。
確かに一見クリーンに感じますが、それゆえの注意点も存在するのです。
暖房では灯油の燃焼がないこと、これは大きなポイントとなります。
給気中の酸素の消費量が少ないために、室内の換気を減らす(人の呼吸その他があるので、ゼロには出来ません)ことが出来るので、室内の暖かさを換気で無駄に放出することも少なくなります。
しかし電気による暖房は、暖かくなるのに時間がかかる傾向があります。
エアコンは本当に温かい風が出てくるまでにはかなり時間がかかりますし、床暖房を併用する場合は暖かくなるまでにさらに時間がかかってしまいます。
立ち上がりが早いものの電気代がかかるセラミックヒーターやハロゲンヒーターなどを、部屋全体が温まるまでのつなぎとして補助的に使う場合もあります。
またエアコンによる暖房は、乾燥している冬の空気をさらに乾燥させてしまいます。
この乾燥の為に、実際の室内の温度より寒く感じてしまうという問題もあるのです。
(石油ファンヒーターなどでは、燃焼の際に水蒸気も発生するので、乾燥は若干抑えられます。)
そのために電気による暖房には加湿器が必要になることが多くなりますが、加湿器には給水が必要となり手間がかかりますから、便利さも減少してしまうのです。
また余計な電気代も必要となります。
コンロについては、IHヒーターの便利さがポイントになります。
しかし鍋やフライパンが鉄製のものに限られたり、どんな鍋でも使える電熱線のコンロは熱くなるので、危険さはコンロと大差ありません。
またコンロの場合は上昇気流で煙が上部に集中しやすいので、レンジフードで煙を集めやすくなります。
しかしIHヒーターでは煙が拡散してしまうので、調理中に生じる煙を捉えにくいという欠点もあるのです。
(レンジフードで捕らえられなかった煙は、室内に充満してしまいます。)
IHヒーターは強力な電磁波の発生源なので、電磁波によるシックハウスの危険性があります。
特に乳幼児には発育面などでも影響が大きいので、妊娠中のお腹や小児はIHヒーターから離れていることが必要といえるのです。
また台風被害が多い地域では停電も起きやすく、その度に料理が困難になってしまいます。
これについてはカセットコンロなどで対応は可能ですが、IHヒーターとは別に準備が必要になるという点では欠点といえるでしょう。
給湯器については、電気温水器やエコキュートを設置する場所が必要となります。
お湯が少なくなると追い炊きしますから、昔のようにお湯がなくなることはほとんど無いのですが、追い炊きの時間帯は電気代が高い可能性もあります。
給湯器についての電気の欠点としては、設置場所が必要となる点とエコキュートの場合は深夜の騒音が気になる可能性がある点です。
また電気温水器やエコキュートの作るお湯の容量が普段使用するお湯の量より極端に少ないと、電気代が高くなってしまうので注意が必要です。
オール電化住宅は一見便利に見えますが、実際の使用の際には他の機器の設置やその機器の手間が生じることもあります。
またIHヒーターについては、調理中の煙が拡散して見えにくいだけで、クリーンとはいえない面もあるのです。
電磁波も目に見えないだけで乳幼児には有害なので、出来るだけ離れて使用することが必要となります。
給湯器については、設置場所以外は特別な欠点は無いといえそうです。
このような欠点を踏まえた上で、電気による便利さやクリーンさと光熱費のコスト削減効果を判断する必要があります。
欠点を知っていれば対応は比較的簡単なので、欠点を上手くカバーできるオール電化住宅を作ることが大切なのです。