長期優良住宅は、政府提唱の200年住宅と同じ住宅のことを示します。
さすがに住宅を200年使い続けることは難しいようで、実質的には名称変更といえそうです。
長期優良住宅は、平成21年6月4日に施行されます。
住まいにかかる所得税の減税処置や保存登記料や固定資産税など、税金の面にも優遇処置がありますが、一般的な住宅とは極端な違いではありません。
住宅金融支援機構によるフラット35は35年までの住宅ローンですが、長期優良住宅に対しては、50年までの住宅ローンに延長されます。
長期優良住宅として認定されるためには、登録住宅性能評価機関による認定が必要となります。
登録住宅性能評価機関の技術的審査を受けて、適合証を交付された住宅が認定の申請を行うことができます。
実際の認定自体は、確認申請を受け付けている役所で行う地域が多いようです。
長期優良住宅として技術的審査を満たすためには、住宅性能評価制度の内容を基本にして内容を追加・選択した、独自の仕様に適合する必要があります。
かなり形式的な内容のために、長期優良住宅として適合させる申請自体は、住宅性能評価制度に認定されるのと同じような手間となりそうです。
長期優良住宅として認定されるために必要な内容を見ると、ハウスメーカーが作る住宅が有利になる内容のようです。
昔ながらの伝統工法で作る住宅は、はやり眼中にありません。
現実に100年以上住まい続けられてきた住宅つくりの技術は、無視されているのです。
接着剤の寿命が100年もつのか分からない、集成材の柱や梁が推奨されていたりします。
さらに、住宅の断熱性能が高いことも要求されているために、住宅が長持ちする内容とは反する部分も見受けられます。
また、住まいを長く使うためには、定期的な検査(有料もしくは無料)と実費でメンテナンスを行なうことが必須です。
しかし定期的なメンテナンスを行うことについては、一般の戸建住宅に関しては、ほとんど外されてしまいました。
確かに実効性が薄いとはいえ、住み手に対して定期的なメンテナンスを意識させることは大切なはずです。
定期的な点検やメンテナンス無しには、住まいの寿命を伸ばすことは難しいのです。
長期優良住宅は、実効性のなさがネックになりそうです。
適合の基準が画一的な上に断熱性能の良さまで取り込んでしまったために、本来の長持ちする住宅としての作り方とは相容れない部分が見られるのです。
また、住宅の寿命を延ばすということは非常に重要なことなのですが、なぜか新築住宅優遇策ばかりです。
逆に新築に対する税制をそのまま、中古住宅取得やメンテナンス費用に対するローンや税金の優遇策を行うことこそが、住まいを長持ちさせる有効な方法といえるのではないでしょうか。