蔵のある住宅(天井の低い収納がある家)住宅は、最近の狭い敷地に対応した収納を確保した住まいとして脚光を浴びています。
狭い敷地で法的制限が掛かる場合には適したつくりです。
しかし機能面で考えると、ちょっとした不都合があることも確かなのです。
建築基準法では、天井高さが1.4M以下の納戸は下階の床面積の1/2(地域次第で1/2から1/8)の部分は床面積に算入しない決まりがあります。
敷地が狭い場所にギリギリに住まいを建てる場合や、低層住居地域で容積率(建物の床面積を敷地面積で割った割合のこと)の制限が厳しい場合には、収納部分を確保して他の部屋の部分を広く使うために非常に有効な蔵(納戸)であると言えます。
蔵のある住宅は、小屋裏収納や床下収納のような出入しづらい納戸ではなく、出入りしやすく使い易いという利点があります。
まとまった大きさの納戸を作ることが出来るので、収納しやすいことも利点となります。
しかし1階と2階の中間に納戸を作る場合、階高が高く(階段の段数が多く)なってしまい、日々の階段の上り下りが多少大変になります。
また階段の途中に入口があることになるので、収納を出し入れする為に必ず階段を使う必要があるというのも、ちょっとした欠点となります。
天井高が低い為に、しゃがんだ状態で物を運ぶ必要がある事も欠点となります。
特に大きな物を収納する場合や物を整理する場合に、変な姿勢を強いられるので力が入りにくく疲れやすいのです。
住まいの中間層に蔵(納戸)を作ることは、床面積の制限に余裕がない場合には有効です。
しかし床面積に法的な余裕がある場合には通常の蔵(納戸)を作ったほうが天井高さなどの制限がなく、使い易い収納を作ることが出来ます。
もしくは平屋部分の小屋裏を利用して、2階と同じ床面の高さで使うことも使い易い収納となります。
出来る限り同じ階に設置できる収納部分を増やし、それでも足りない部分を小屋裏収納や床下収納で対応することも、普段の使いやすさを考えると有効と言えるのです。
住まいの中間層に蔵を作ることには意外な欠点も多いので、その他の収納部分を増やすことで対応できる場合には、普通の収納の作り方の方が使いやすくて便利です。
法的制限が厳しい場合や駐車場を確保する必要がある場合など、中間層に蔵(納戸)を作らないと収納部分を確保できないケースになって初めて 蔵のある住宅 が有効だといえるのです。