環境共生住宅は、最近の自然環境に配慮した自然を感じる住まいとして脚光を浴びています。
ポイントは自然を活用して行なう省エネルギーと自然のエネルギーを利用することです。
また、建設時や廃棄時の環境破壊を抑えることもポイントといえるでしょう。
省エネルギーのポイントとしては、住宅の断熱性能を高めることが一般的な考え方ですが、これは環境共生とはいえません。
環境と共生することは、自然の心地いい時期には外気を感じることが大切なのです。
庇の長さやサンルームや縁側などの適切な配置によって、外部と内部の中間的なスペースを確保することで、自然を感じつつ厳しい自然環境の時期にはきちんと遮ることが出来る作りが必要です。
日差しを遮ったり、外部の空気を穏やかにする為に樹木を適切に植えることもポイントとなります。
樹木を植えると葉からの水分が気化することで温度を奪うので、夏の暑さをかなり緩和することができるのです。
冬には適度な湿度も加えてくれます。
自然のエネルギーを住まいに利用することについては、色々な事が考えられます。
太陽光発電や太陽熱温水器からパッシブソーラーシステムや地熱(地冷)利用冷暖房、風力発電や雨水利用や生ゴミ処理機など、自然のエネルギーや自然の力を利用する住宅であれば環境共生といえるでしょう。
太陽光発電や太陽熱温水器は、住まいで使用するエネルギーを減らすことが出来ます。
パッシブソーラーや地熱利用の冷暖房システムや、電気を生み出す風力発電も同様でしょう。
雨水利用は節水だけでなく洪水や冠水防止にも少ないながら効果があり、生ゴミ処理機はゴミ処理に掛かるエネルギーを抑えられる上に庭木の肥料を生産できます。
環境共生住宅として建設時の環境破壊を抑えるには、自然素材を多用することです。
それも輸入材には運搬にエネルギーが掛かり環境に配慮しているとはいえないので、日本の地元にある材料を使用するべきでしょう。
地元の木材を使用すれば森林業が活性化し、現在の森林も切りっ放しでなく再生することが出来ます。
現在は戦後の植林で作られた杉や桧が、程よい大きさと樹齢の状態で山に多量に存在しているのです。
(現在の日本は開発で切り開く土地を除けば、森を消費する量より森が成長する量の方が遥かに大きい状態なのです)
これほどの在庫がある日本の木材を、有効利用しない手はありません。
住まいの寿命を延ばすことも重要で、短い年数で建て変えてしまっては環境共生とはいえません。
物を作るには、生産にエネルギーが掛かり、運搬にもエネルギーが掛かり、さらに建築にエネルギーが掛かるのです。
住宅の寿命が長ければ、建て替えに掛かるエネルギーを減らすことが出来ます。
さらに周囲に建設時の悪影響を与えることも少なくなるので、建物の寿命を延ばすことは環境共生住宅では特に重要なのです。
廃棄時に環境を破壊しない為にも、自然素材の利用は有利となります。
ビニールクロスや石膏ボードのような材料は、リサイクルの際にもエネルギーが必要となります。
樹脂を多用した材料も同様です。
自然素材ならそのまま再利用したりできますし、廃棄することも比較的簡単です。
環境共生住宅を謳っている現在の住まいは、省エネルギーを中心に考えていることがほとんどでしょう。
確かに省エネルギー自体は広い意味での環境共生となりますが、住まいとしての環境共生とは少し意味合いが違っています。
環境共生とは、自然環境を住まいの快適さのために活用することなのです。
自然を利用しない単純な省エネルギー住宅は、環境共生住宅とはとても呼べません。
環境共生住宅を意識した住まいを作る場合には、生産や廃棄の際も含めて 自然の力をどれだけ有効に利用しているか という点が判断基準となります。
極端に言えば、換気を良くするために窓を一つ追加するだけでも環境共生住宅と言えます。
そこで自然の力を広い範囲で効果的に使っていることが、本当の意味での環境共生住宅となるのです。